ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

江刺の稲

まじめ・不まじめ・非まじめ

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第134回 2007年05月01日

  • この記事をPDFで読む
    • 無料会員
    • ゴールド
    • 雑誌購読
    • プラチナ
本誌への高橋がなり氏の登場について、一部の読者に反発があるようだ。高年齢者というより、次代を担う40歳前後の若手経営者の中にそうした声が聞かれる。逆に高年齢の読者ほど、がなり氏が農業にかかわることを歓迎する声が多いことも僕には興味深いことだった。
 本誌への高橋がなり氏の登場について、一部の読者に反発があるようだ。高年齢者というより、次代を担う40歳前後の若手経営者の中にそうした声が聞かれる。逆に高年齢の読者ほど、がなり氏が農業にかかわることを歓迎する声が多いことも僕には興味深いことだった。

 団塊世代以上の本誌読者であれば、自らの事業を通して農業変革に取り組んできたことは容易に想像できる。むしろ、ままにならない体験の積み重ねがあればこそ、農業界に高橋がなり氏のようなトリックスターが登場することを歓迎するのであろう。

 トリックスターとは英語で詐欺師という意味であるが、同時に神話学で、神や世界の秩序を壊し、破壊と創造のきっかけを作るやんちゃなヒーローを意味する。僕はがなり氏にそんな期待を持つのである。

 若い人の間でもがなり氏の人気は凄い。昨年夏、僕は山形で行われた4Hクラブの全国大会に講演者として呼ばれた。山形の読者たちに行き合わせるべく同行していた同氏のこ編集長「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。とを、話しの中で紹介した。すると、講演が終わるやいなや、若者が同氏を取り囲む。僕は、その脇で手持ち無沙汰にしているほかなかった。

 がなり氏は、TV、雑誌、講演などで、自らの経験を語りながら、挫けそうな者や社会の底辺にいる劣等感に苛まれている若者に対して、同氏流の表現で激を飛ばしてきた。そんながなり氏が農業を始めた。4Hクラブの全国大会に来ていた青年たちが、有名人に会いたいという軽薄な思いがあったとしても、同氏の周りに殺到したのは肯ける。同氏は、その場の役割をキッチリと演じることのできる人だった。本誌での登場をきっかけに、農業関係での講演依頼が殺到しているという。

関連記事

powered by weblio