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【江刺の稲】
撤退する外貨小売業に似た農業界
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第136回 2007年07月01日
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流通業界のジャーナリスト・緒方知行氏が主幹する雑誌「2020Valuecreator(価値創造者)」の5月号に「世界一の流通企業ウォルマートは、日本の市場に歯が立たないのか?」という企画記事が出ている。商業界の人々の市場を見つめる視点と分析は、単純な規模やコスト問題だけでしかマーケットを考えないわが農業界の敗北主義の愚かさと、市場社会(顧客)に向かう自らの立ち位置の傲慢さを恥じるヒントを提供してくれる。ご一読をお勧めする。
かつて小売業界にとって「黒船」といわれて日本市場に参入した外資のウォルマート(西友)の苦戦とカルフールの撤退の理由を分析する座談会の中で、柳田信之氏((株)トム代表取締役)はこう解説する。
「同じ成熟といっても日本と欧米では次元の異なるところがあります。日本と欧米の違いは社会の階層の問題だと思うのです。日本は貧乏な人でも、どんなに安かろうとサービスや質が悪いと怒る。彼ら(外資)の、安いんだからこのくらいのサービスで納得するはずだという割り切りには日本人は納得しない。…中略…日本人は状況によっては貧富の差は関係なく、自分の生活観まで変えてしまう。…中略…そのへんを理解しない限り、どんなに量のメリットを追求して価格を下げようとも、日本ではうまくいくはずがないのです」
かつて小売業界にとって「黒船」といわれて日本市場に参入した外資のウォルマート(西友)の苦戦とカルフールの撤退の理由を分析する座談会の中で、柳田信之氏((株)トム代表取締役)はこう解説する。
「同じ成熟といっても日本と欧米では次元の異なるところがあります。日本と欧米の違いは社会の階層の問題だと思うのです。日本は貧乏な人でも、どんなに安かろうとサービスや質が悪いと怒る。彼ら(外資)の、安いんだからこのくらいのサービスで納得するはずだという割り切りには日本人は納得しない。…中略…日本人は状況によっては貧富の差は関係なく、自分の生活観まで変えてしまう。…中略…そのへんを理解しない限り、どんなに量のメリットを追求して価格を下げようとも、日本ではうまくいくはずがないのです」
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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