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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

近藤牧雄さん(愛知県安城市)の場合

“夏の水耕栽培は病気が出て当然”が常識になってはいないだろうか。だがはたしてそうか。稲、麦、三河地鶏をてがけながら、中国から研修生も受け入れるなど多角経営の手をゆるめない近藤農場が、水耕ミツバ栽培を始めて一三年。今年の夏もハウス内は生育旺盛なミツバで一杯だった。
関 夏期の水耕は苦戦するとよくいわれます。これは主に、夜間の水温上昇によって水が腐ることが原因と考えられます。作物の根から排出される有機物が水温上昇によって一斉に分解し、水分中のバクテリアのバランスが崩れてしまうわけです。では水温を下げればいいじゃないか―。素人はそう考えますが、費用が莫大過ぎてとてもそんなことはできませんね。

 ところが近藤さんの水耕ミツバハウスを拝見したところ、夏場とは思えない見事な生育ぶりに驚きました。そこで、こちらではどのような対策をとっていらっしゃるのか、今日はぜひお聞きしたいと思います。

近藤 私がミツバの水耕栽培を始めたのは昭和59年で、その後平成元年に26aのハウスを建て、本格的に取り組み始めました。他に20haの稲麦作や、三河地鶏などを手がけています。多角経営の一環というわけですな。

 最初は無菌状態なので、三年目までは全く病気は出なかったんですが、その後コロッと出てきた。収穫がほぼ45日周期なので、次は大丈夫だろうと思っていたらそれもバツ。結局一年パーですわ。ダニとピシューム菌でまず根がイカレてきたんです。夏場は26度以上になると要注意ですね。

関 ミツバはやはり、夏には相場がだいぶ上がるんじゃないですか?どちらでも相当不揃いになっているようですね。実は今回、取材をお願いしたお宅にはことごとく「や、今はちょっと」と断られまして…。

近藤 うちも去年の今頃だったらそう言ってたかも知れんね(笑)。

 そうそう。O157のようなことがなければね。相場は8~9月にはグッとあがって、10月になるとポコッと落ちる。こういう、どこでも苦労する夏に頑張らないと。

 そこでまず試みたのは、パネルの消毒です。稲の育苗箱用消毒剤やジ亜塩素酸を塗って天日干し。紫外線による直接消毒をやってみたらこれで一年もった。

 でも敵もさるもの。たちまち抵抗力をつけるので、その後はイタチごっこです。パネルについては、ここ三年程は蒸気消毒しています。これのいいところは、アオミドロがとれるのと、あとは気分がイイ(笑)。

 ほかにも様々な方法を試しましたが、今は昨年11月から始めた乳酸菌施用に落ちついています。三ヶ月ほどで効果が出始め、乳酸菌を使って初めての夏を迎えたわけですが、ピシューム菌にはこれがなかなか効いているようです。

関 乳酸菌とアンモニアの混合剤は、稲作でもチッ素の肥効が長持ちする効果があがっている例があるようですね。

 さらにこちらでは、ハウス内の通気が非常に良いことも功を奏していると思います。

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