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農業経営者ルポ

俺は賃耕屋だ!!

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第27回 1998年02月01日

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日本一の賃耕屋


 高柳さんは、後継者の和雄さん(25歳)と二人で、畑作関連の作業を中心に農家からの多種多様な作業注文に応えている。顧客は茨城県の行方郡、鹿島郡などの比較的近隣の150軒から200軒の農家。千葉県や福島県などに出掛けていくこともある。高柳さんは農家の仕事を手伝うことを営業の原則にしており、集荷業者の下請け仕事はしない主義だという。

 機械装備は、現在使用中のトラクタだけでも格納庫や整備場の中には入りきれず、敷地内の至る所に置かれている。その数だけでも30台は下らない。今では機械置き場と機械のテスト場になっている畑に並べられたクラシックトラクタまで加えれば、台数は高柳さんも「数えたことないよ」と笑うほどだ。

 平均馬力は70馬力程度というが、小は20馬力位から150馬力クラスまで、国産、外車を含めてありとあらゆるメーカーのトラクタが揃っている。

 トラクタだけではない。自作の機械を含めて多種多様な様々なサイズの作業機がトラクタに装着されている。他にも建機や電気工事で使う機械まで農機に限らぬ中古機械展示場を見るようだ。

 整備工場は間口15m×奥行30mで軒高さが10mもあり、2.8tの天井走行クレーンまでを装備している。工場内の設備も、中古品とはいえ各種の溶接機、切断機、旋盤 、ボール盤、グラインダなどが何台も置いてあり、さらには200tのプレスやフライス盤まである。工作機械の装備や高柳さんの技術能力は、並みの農機具屋では追い付かないだろう。僕の知る限り日本でもナンバー1の賃耕屋だといって、まずは間違いない。

 畑をメインの仕事場とする高柳さんの主な請負作業は、プラウ耕、ロータリなどでの砕土・整地、代かき、マルチ掛け、ゴボウ空掘り、草刈り、堆肥や糞尿の散布、各種掘り取り作業。

 作業能力の高さだけでなく、作業の質の高さも注文が集まる理由の一つだ。それが作物の収量や品質に影響を与えるからだ。


「トラクタに乗りたい」


 戦前、高柳さんの父親は朝鮮で教師をしていた。戦後、引揚者として帰国し、生まれ故郷近くの開拓部落に入植した。農家の出身とはいえ体の弱かった父親には開拓農家の暮らしは厳しく早くに亡くなり、兄も早くから家を出ていた。

 12歳で中学に入学した頃、高柳さんはすでに家の中心的な働き手だった。

 家の農業は酪農と養蚕、それに畑に牛の飼料や麦などを作っていた。暮らしは楽ではなかった。

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