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【やぶにらみ解説】毎日新聞が今朝の朝刊1面で掲げた「農and食:政権交代の激震/上・下」です。ワンテンポずれてますが、まずまずの好企画です。上は、岩手県北上市で520ヘクタール規模でコメ麦大豆野菜を展開する「西部開発農産」を取り上げました。戸別所得補償で「貸し剥がし」が起きて、社長の照井耕一さん(65)が「努力を重ね、低コストで安全な農産物を作ってきたのに。民主党がやることは全く逆だ」と恨み節を紹介しております。下は、戸別補償で「踏ん切り」の見出しで、戸別所得補償が始まることによって、集落営農組織から脱退者が相次いでいることを「集落営農、相次ぐ脱退『利点見いだせず』」の 見出しでレポート。なかなかポイントは突いていますが、プロの眼からすれば、もう少し突っ込んで欲しかったということです。上は、西部開発農産が支払っている借地料金が一つのポイントですが、その記述がない。それと作業が丁寧かどうかについても言及がありません。下は、集落営農組織のどこが、どのように、「利点見いだせず」か、その具体的な部分についての説明がありませんでした。どの大手メディアも集落営農組織がスタートした当初には、何の批判記事も書いておりませんでした。それどころか毎日新聞は、昨年、集落営農組織は「指導者を得れば問題なし」のようなピンぼけの記事を書いておりました。読者が知りたいのは、集落営農組織の何処が問題かという点ではないでしょうか。大手紙の記者は1年や2年で記者クラブを交代します。そこをつけ込んで役人があれこれ記者を洗脳してしまうのです。その結果、役所広報みたいな記事のオンパレードとなってしまうのです。手前味噌ですが、集落営農に鋭く切り込んだのは、本誌でした。当初から「150%失敗する」(筆者) と言い切っておりました。事態は、その通り。われわれメディアに求められるのは、「先見性」のように思われるのですが。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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