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除草剤が発達していることから、除草を気にすることはないとするのは、大きな問題である。除草剤を使用することは費用を要することなのである。そればかりではない。除草剤は直接土壌に散布するだけに土壌微生物性に与える影響が大きいと言われている。土壌微生物性に変態を来せば、食物連鎖で昆虫も小動物も影響を受けて生態系が変化してしまうものである。現に農村にネズミも蛇も少なくなってしまった実態を考えればよい。いずれ人間にも影響するであろう。影響を及ぼさないとする保証は何もない。
病害虫の防除には化学合成農薬に依存しなければならない場面が多い。無農薬栽培は必ずしも合理的とは言えない。工夫して必要最小限の農薬は使用するとするのが正しい。しかし、除草については話は別である。雑草は人為的に処理できるものであるからにはそのように対策すべきであり、それが自然態というものである。
ボトムプラウによる反転・鋤込み耕は雑草の繁茂を抑制する基本技術である。最近、次々と精密除草機が開発されて株間の除草すら機械処理できるようになっているが、プラウ耕と結び付いてより効果的になり、除草剤を大幅に節減することに成功している。
クリーン農業、持続的農業を展開するには、土壌の能力を最大限に生かすことであり、そして土壌を保全することである。このためにはボトムプラウは欠かせない。繰り返すが、土壌を苛めて使ってはいけない。ロータリティラーに依存し続ける限りにおいては、日本農業に明日は無いと言ってよい。
九州のある地区でポテトハーベスタのテストをしていた時のことである。にわか雨があって作業を中断した。大雨ではなかったので、時間を待って作業を継続することにした。火山灰土壌でもあるので、大丈夫と判断したのである。
ところが、圃場は水浸しであり、とても作業のできる状態ではない。農家は、だから高畦にしていると言うが、長年ロータリ耕をすれば、硬盤が形成されて排水性が極度に悪化するのである。北海道のように心土破砕もしていなければ、元々排水性のよい土壌であるにも拘わらず、排水は長引いてしまう結果になってしまう。
高畦栽培をするには、それなりの理由がある。表面積が大きくなりそれだけ地温が高くなるとか、移植機などを自動走行させることができるなど高畦ならではの便利性がある。しかし、基本的な排水性を高畦に求めるのは邪道である。高畦栽培しようとも、ボトムプラウで深耕してから高畦にするべきものなのである
北海道のバレイショ栽培の培土は、以前にリッジャを用い土を寄せる程度のものであった。加工用バレイショが増加してきていることもあって培土法の改善に迫られ整畦培土機が開発された。蒲鉾状に大きく培土することからカマボコ培土と呼ばれ急速に普及した。
大きく培土されることは、それだけ養分吸収領域が広くなったことであり、増収するのは当然のことである。塊茎は素直に分布し、また、露出するイモが少なくなったことから品質も向上した。
この場合、大規模畑作地帯で顕著な効果が認められたのに対し、小規模畑作地帯では若干劣った。この原因を調査すると、プラウ耕の深さに関係することが判明した。つまり、大規模畑作地帯では、バレイショを栽培する時は30~35cm深耕する。小規模畑作地帯は20~25cmである。この10cmの差が生育・収量に関係するのである。
病害虫の防除には化学合成農薬に依存しなければならない場面が多い。無農薬栽培は必ずしも合理的とは言えない。工夫して必要最小限の農薬は使用するとするのが正しい。しかし、除草については話は別である。雑草は人為的に処理できるものであるからにはそのように対策すべきであり、それが自然態というものである。
ボトムプラウによる反転・鋤込み耕は雑草の繁茂を抑制する基本技術である。最近、次々と精密除草機が開発されて株間の除草すら機械処理できるようになっているが、プラウ耕と結び付いてより効果的になり、除草剤を大幅に節減することに成功している。
クリーン農業、持続的農業を展開するには、土壌の能力を最大限に生かすことであり、そして土壌を保全することである。このためにはボトムプラウは欠かせない。繰り返すが、土壌を苛めて使ってはいけない。ロータリティラーに依存し続ける限りにおいては、日本農業に明日は無いと言ってよい。
九州のある地区でポテトハーベスタのテストをしていた時のことである。にわか雨があって作業を中断した。大雨ではなかったので、時間を待って作業を継続することにした。火山灰土壌でもあるので、大丈夫と判断したのである。
ところが、圃場は水浸しであり、とても作業のできる状態ではない。農家は、だから高畦にしていると言うが、長年ロータリ耕をすれば、硬盤が形成されて排水性が極度に悪化するのである。北海道のように心土破砕もしていなければ、元々排水性のよい土壌であるにも拘わらず、排水は長引いてしまう結果になってしまう。
高畦栽培をするには、それなりの理由がある。表面積が大きくなりそれだけ地温が高くなるとか、移植機などを自動走行させることができるなど高畦ならではの便利性がある。しかし、基本的な排水性を高畦に求めるのは邪道である。高畦栽培しようとも、ボトムプラウで深耕してから高畦にするべきものなのである
北海道のバレイショ栽培の培土は、以前にリッジャを用い土を寄せる程度のものであった。加工用バレイショが増加してきていることもあって培土法の改善に迫られ整畦培土機が開発された。蒲鉾状に大きく培土することからカマボコ培土と呼ばれ急速に普及した。
大きく培土されることは、それだけ養分吸収領域が広くなったことであり、増収するのは当然のことである。塊茎は素直に分布し、また、露出するイモが少なくなったことから品質も向上した。
この場合、大規模畑作地帯で顕著な効果が認められたのに対し、小規模畑作地帯では若干劣った。この原因を調査すると、プラウ耕の深さに関係することが判明した。つまり、大規模畑作地帯では、バレイショを栽培する時は30~35cm深耕する。小規模畑作地帯は20~25cmである。この10cmの差が生育・収量に関係するのである。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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