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どうなる!どうする?こんなとき

政府の仕掛けるコメ・ビッグバン

前号の「コメはじゃんじゃん作るべし」は、各方面にさまざまな波紋を巻き起こしたそうである。ちょうど減反をめぐる集落の座談会を控えて、各地の読者から「そうはいっても減反は拒否できないよ」との反論めいた意見が編集部に寄せられた。行政や農協との板挟みに合って思い悩む読者がいかに多いことをあらためて思い知らされた。今回はこれに答えておきたい。その一人、山形で専業コメ農家のAさんは、筆者にこう電話をしてこられた。質問の趣旨はこうだった。
Q:先生のおっしゃっていることはよく分かりますが、自分が反対したら、集落に農業補助金がこなくなって迷惑をかけてしまう。

A:米価はまだ下がるかもしれない。輸入も増えるかもしれない。コメ情勢がますます厳しくなる中で、あなたが集落の和だけをおもんばかって減反を守ったらどうなりますか。とくに専業農家は二、三年内に経営が行き詰まる。そんな事態がこないとも限りません。自分の経営を優先することですよ。

Q:やっぱりそういう意見しか出てきませんか。

A:少々ぶっきらぼうな返答かもしれませんが、答えはこれしかないと思いますよ。とにかく相手は集落のしがらみを使って減反を強要してくるんです。その手にのるべきではないと思いますね。

Q:農村ではそう簡単に割り切れないんです。

A:それはよく承知しています。あなたの住んでる山形県のあるコメ農家は、「得」か「損」かで判断して減反に参加するかどうかを決めるようになったということです。むろん若い農業青年ですが、自分の農業経営を集落のエゴで振り回されたくないとハッキリ割り切っていますよ。答えはそれしかないと思います。

Q:行政や農協にどう説明すればよいのですか。

A:もう今年は間に合わないかもしれませんが、集落の座談会でこう質問すればいいんです。行政や農協があくまで減反を守れというのなら、輸入はこれ以上増やしません、米価はこれ以上下げません、と農家に約束すべきだ。その約束がない以上、コメ専業農家はこれ以上の減反に応じるべきではないでしょう。政府の減反に協力して、私の農業経営が立ち行かなくなった場合、行政や農協は農家の生活の面倒をみてくれますか。そこは自助努力で何とかしろと突き放すでしょう。むろん集落の人たちにも知らんふりをされるでしょう。自分の農業経営は自分で守るしかないのです。

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