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津軽・黄金崎農業通信

流通革命を

昭和51年、同年代の仲間3人と共に、実家から約70km離れた青森県西海岸の深浦の地に新規入植して、23回目の春がやってきました。太陽の光が強まり、雪が解け、トラクターの爆音が我が農場に響き渡る時、つらかった来し方が脳裏を横切ります。地元民に反対された農地の入手、小遣いさえ確保できなかった1年目、3000万円近い累積赤字で経営に赤信号が灯った昭和56年、収穫できずに畑一面を覆った腐敗ダイコンや小麦の惨状、一緒に参入した友の離脱。しかし、これらの苦しみは、高い授業料でしたが、いい勉強になったと思っています。
 昭和51年、同年代の仲間3人と共に、実家から約70km離れた青森県西海岸の深浦の地に新規入植して、23回目の春がやってきました。太陽の光が強まり、雪が解け、トラクターの爆音が我が農場に響き渡る時、つらかった来し方が脳裏を横切ります。地元民に反対された農地の入手、小遣いさえ確保できなかった1年目、3000万円近い累積赤字で経営に赤信号が灯った昭和56年、収穫できずに畑一面を覆った腐敗ダイコンや小麦の惨状、一緒に参入した友の離脱。しかし、これらの苦しみは、高い授業料でしたが、いい勉強になったと思っています。苦労は修業になるのです。その一方で、楽しかったこともたくさんありました。農場で共に働く人達と無事やり遂げた中国への慰安旅行、100万円に届いた1カ月の報酬、多くの応援者を集めて行われる毎年夏の農場祭などです。

 そんな思い出をかみしめながら我々の農場は今を見つめ、未来を切り開いていくつもりで、500haの農地で、ダイコン、ジャガイモ、小麦、大豆、ニンジンなどに取り組んでいます。それにしても、昨今の景気低迷は、農場経営にも大きな影響を与えています。私の担当作目でいえば、加工ダイコンの売れ行きが厳しくなっています。大口需要先には、これまで農場在庫であっても、契約が成立していれば半分程度は納金してもらっていました。ところが、昨年からは、納入した分しか、入金してくれなくなっています。消費者のサイフの引き締めで、タクアン需要が不振なのです。当初、引く手あまたとされた無農薬ダイコンさえ、引き取りがない状況が生じています。

 ダイコンだけでなくほかの農産物も大きな打撃を受けています。どこまで続くぬかるみぞ、という感じです。政府の強烈なテコ入れ策が待たれます。とはいえ、今後、景気が回復し、需要に強さがでてきたとしても、資本主義社会だけに、消費の落ち込みは再び生ずる可能性があります。とすれば、そんな事態に対応していくための方策を今から考えることは、経営者の努めです。

 私は、その解決策として、流通革命を提唱します。簡単に言えば、消費者と生産者が直結した流通システムにすることです。現在、生産者と消費者の間には、加工品であればメーカーや問屋などがあるし、生食用であれば市場、仲卸しなどが存在します。この流通の流れをもっと直線的にすれば、コストがかからず生産者の手取りが増え、消費者もより低価格で購入できると考えるのです。例を挙げれば、きざみダイコンは農場から出る時は1kg当たり100円ですが、小売段階では1200円にも達している場合があります。複雑な流通経路や小売でのロスマージンなどによるものです。これを仮に農場から消費者へ直結する販売法で、1kg当たり500円とすれば、我々にとっても、消費者にとっても有利な取引になるのです。

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