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栄養週期理論を検証する

作物を生き物として見る事の重要性

今回、登場して頂く峯岸長利先生は、栃木県農業試験場栃木分場の分場長でいらしゃり、ブームのように拡がりつつある「養液土耕栽培」の開発者である。「養液土耕栽培」とは、作物を土壌に植え、点滴潅水システムを使って、根域制御を行い、必要な時期に必要な量だけ水と肥料を与える栽培方法で、それにより最低限のコストで栽培者の目指す生産物が栽培できるようになるのである。
 今回、登場して頂く峯岸長利先生は、栃木県農業試験場栃木分場の分場長でいらしゃり、ブームのように拡がりつつある「養液土耕栽培」の開発者である。「養液土耕栽培」とは、作物を土壌に植え、点滴潅水システムを使って、根域制御を行い、必要な時期に必要な量だけ水と肥料を与える栽培方法で、それにより最低限のコストで栽培者の目指す生産物が栽培できるようになるのである。

 今回の連載の主旨である「栄養週期理論」と、理念はかなり近く、また、「養液土耕栽培」は、「栄養週期理論」の現代的な一つの姿であるようにも思える。

 「養液土耕栽培」の開発者の峯岸先生に栄養週期理論を述べた「新栽培技術の理論体系」を読んでいただき、その感想をお聞きした。その理輪が先生の目にはいったいどのように映るのか興味深かったが、

 「当たり前のことが書いてある」と一言。

 先生から見れば、植物の都合を考えている「栄養週期理論」は、至極当然のことに映るのである。

 では、何故「栄養週期理論」で述べられ、峯岸先生も当たり前と考えている栽培方法が、現在当たり前でなくなったのか先生にお聞きした。

 「江戸時代とかの篤農家といわれる人は、作物だとか気象だとかをよくみていて、作物の一生というのをよく観察したと思うんだよ。戦後の農業技術というのは、マニュアル化してしまっている。そこでいっているのは作物を観察しなさい、ではなくて、このメニューでやればよいというマニュアルを出してきて、生き物としての作物を見なくなったんじゃないかと思う。見なくなったから技術マニュアルの範囲で条件が満たされている場合には、問題なく生産できるが、状況が変わって冷害がきたりとか、雨が多かったり、日照不足になったりとかすると、すぐひっくりかえっちゃう。農家が完全に作業労働者になってしまって、作物を生き物として見ていないからなんじゃないかな。そこのところを理解していれば、手段は使いこなせるものだと思うよ。」

 つまり、作物を生き物としてみていないことが第一の要因であるとのこと。このことは、現在、指導機関が手助けしすぎて、作物に対し自分で考え判断する能力が農家から失われつつあるのも原因の一つと先生は分析する。

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