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自分の畑は自分で診断する

これなら分かる「土と肥料」の実践講座土を考える流れ

「土の科学を農家の手に」というテーマに基づいて、現場で農業生産者が自分で学んだ知識を、農業の道具として使い、自己責任において土壌改良を手掛けていくために、農業経営者と関連業種がしなくてはならないことは何か?この「自己責任において」という部分が大事です。
土壌分析総論


 「土の科学を農家の手に」というテーマに基づいて、現場で農業生産者が自分で学んだ知識を、農業の道具として使い、自己責任において土壌改良を手掛けていくために、農業経営者と関連業種がしなくてはならないことは何か?

 この「自己責任において」という部分が大事です。

 そもそもこの土壌学の発祥は、中世ヨーロッパにおいて、当時、地租の課税を公平にするため、その圃場ごとの土地生産力を評価する手段として必要が生じ、考え出されたものです。この土を調べることに、時あたかもドイツの農芸化学の父リービッヒは、近代化学の力を以て貢献し、土壌という得体の知れない物質に定性的、定量的に科学のメスが入ったということです。

 時代を同じくして、ロシアに土を調べるということを確立した人がいます。

 それはドクチャエフという人で、彼はリービッヒとは対照的に、土壌のでき方や形態に着目し、歩いて様々な場所を調べ、特に土壌の断面形態に観察の主眼を置きました。

 そして、ロシアのウクライナ地方に広く分布する黒い肥沃な土壌、チェルノーゼムの研究に情熱を注いだ学者です。

 この両方の手法が土を調べる作業の中で必要なのですが、明治になって日本に入って来たのはドイツからの流れをくむ化学中心の土壌学だったのです。

 この影響か分かりませんが、現在の日本の土を調べるという行為の中心は化学分析です。

 化学的性質は土壌の性質中の一つでしかないのですが、これがいかにも土の性質の全てのように誤解されてしまっている点が恐いのです。

 とは言っても、土の物理性や生物性を現場や実験室で簡単に調べることも容易ではありません。ではどうしたらよいか、それは土壌断面調査を様々な場所で実施して、その資料を積み上げ、また、その経験ある人材を多く育てていくしか道はありません。

 これは理屈ではなく、多くの場面を観察して体が憶えることです。

 次に、土壌分析を依頼する時の、分析サンプルの取り方を正しく行うことです。この断面調査と分析サンプルの取り方については、本誌1号と2号をよく読んで下さい。 

 さて、断面を観察でき、土壌分析結果も届いて、いざこの土がどんな状態かと考えてみようにも数字の意味が全く理解できないというのが当然です。

 通常、この数値が適正値か不足か過剰かというようなことを示す場合、グラフ形式で表現されていますが、そんな単純なことではありません。しかしだから勉強しても理解が不可能かというと決してそうでもありません。

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