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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

斉藤敏夫さん(埼玉県春日部市)の場合

土や水といった作物環境をゼロからコントロールできる施設園芸の世界は、耕種農業の世界とは大きく異なって見える。しかし、鉢物という小さな栽培環境の中に、露地と共通した大事なノウハウが見えてくる。
関 このコーナーで鉢物を扱うのは初めてなのですが、鉢物と露地の土の違いはどういったところにあると思いますか。

斉藤 鉢物では、いわば、大洪水のようになったり、砂漠のようになったりといった状態になります。畑では、大洪水になるわけではないし、台風で水浸しになっても、2、3日で乾きます。鉢物では、ショックに耐えられるというか、排水性と保水性の両方が必要です。肥料でも、水をどんどんやれば、流出はしていくけれども、それでも肥料の持ちがよいというか、なるべくなだらかな曲線で落ちていくことが必要です。そういう面でデリケートなところがあります。

関 鉢物では、土を少しの量で100%生かさないと機能しない。普通の畑でものを作る場合でも、現実にはごく上部の土しか使っていないわけです。

斉藤 こういっては何ですけど、篤農家の畑の土を鉢に入れても、保水性の点でも、湿るとなかなか乾きにくく乾くとカリカリになってしまうというイメージがあります。それだと鉢物にはまずい。

関 経営的にはどの位の面積でやっておられるのですか。

斉藤 坪数で1400。メインはシクラメンが11月と12月。他には、ゼラニウム、ガーベラ、ベゴニア、インパチエンス、アルストロメリアなどをやっています。

関 年間で使う培土はどの位なのでしょうか。量もかなりになるのでしょう。

斉藤 概算でいって、シクラメンで200m3、他の鉢を入れても年間500m3位でしょうか。

関 普通畑で、ロータリで簡単にやると、5~10cm位、1反で100m3位、普通の露地で100%使っていることはなく、せいぜい5~10%位だと思うから仮に100m3の1割として、1反で10m3。10町歩やっている人でも100m3しか使っていない。鉢物では100m3以上を管理しているという感覚はすごいですね。ポイントだと思います。「土づくり」という言葉を猫も杓子も使っていて、「健康づくり」という言葉と同じで訳が分からない。実際に土を機能させるという点で、鉢物屋さんのノウハウは露地の人々にとって非常に大事なものがあると思います。鉢物屋さんは、都合のよい土だけを採択し、ブレンドして使うという考え方をする。露地の人は自分のいる場所の土しか使えないし、そこでしかできないですね。

斉藤 それをどういう風に改善していくかが問題ですね。

関 そうですね。それともう一つ、変えなくても使い方というか、土を機能させる方の知恵も必要ですね。改善しなくても、悪い性質とうまく付き合う、つまり「持病」と付き合うことができれば、安いコストでできるんですよね。完璧な土などというのは日本にない。それなりの持病が必ずあります。それとどう付き合うか、そういった発想が世間では言われなさ過ぎます。培地としての土は購入されているのですか。

斉藤 100%購入しています。

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