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北海道において20年以上も小麦を連作して、周辺の農家よりも収量の多い農家がある。何故、彼だけが連作を続け、高収量であるのかを探ると、実に多様なプラウを使い分けているのである。ここには土を知り尽くして、如何に土を労うか、土に対する親切の精神が溢れている。
つまり、年次別に、土質別にプラウを使い分けているのである。土地の持つ潜在能力を引き出すと同時に、土地の保全も忘れてはいない。もちろん、堆厩肥投与にも余念がなく、収奪したものは総て補填するシフトをしている。
この観点からすると、ハウスの土壌もプラウによって改善できる筈である。そう考えていた矢先、これを実現している農家が熊本県にいることが分かった。三角町の高木理有氏がその人である。彼の記録をベースにその技術を紹介しよう。
彼はハウスの忌地対策に、小型の二段耕プラウを使っているのである。大型の二段耕プラウは地下休閑耕プラウとして一般圃に使われている。ダイコンなどを作り過ぎ、連作障害が発生した場合、作土30cmと心土30cmを上下層入れ換えて土壌を矯正しながら健全なダイコンを収穫する技術である。この小型をハウスに適用した。
一般圃でも、土地面積に余裕があれば、休閑緑肥栽培とするのが理想である。しかし、土地面積に余裕がなければ、そんな悠長なことはできない。とすれば、土地を縦に使う発想である。疲労した作土を下層に休ませればよいのである。層が厚いと言う前提で成立するが、これを阻む理由は何もない。
ハウスの中で地下休閑耕プラウを使うのは無理と考えられていた。あの大型プラウは施設内では動きに大きな制約があるからである。しかし、これは大規模圃場の感覚で考えるからである。必ずしも30cm―30cmの60cm耕法で総てに対応しようとしなければよいのである。
これまでの耕起深が20cm程度のことであれば、20cm―20cmであってもなんら差し支えないものである。ここで小型二段耕プラウ(写真2)の登場である。14インチのプラウの作業幅は36cmである。したがって、最大25cmの深さに耕起することができる。二つ合わせると全耕深は50cmである。この種のものは何馬力のトラクタでけん引できるのか。土質にも関係するが、20馬力以下のトラクタでは無理である。23馬力でもけん引できるが、余裕をもって作業しようとすれば25馬力以上のトラクタがよい。
わが国では小型トラクタが発達し、ほとんどが四輪駆動である。この場合、滑り率20%では自重の60%がけん引力になるとみてよい。さらに好都合であるのは、水田を走行するためにタイヤのラグパターンに工夫し、ハイラグにしている。これがよく土壌をグリップし、予想以上に大きなけん引力を引き出している。
つまり、年次別に、土質別にプラウを使い分けているのである。土地の持つ潜在能力を引き出すと同時に、土地の保全も忘れてはいない。もちろん、堆厩肥投与にも余念がなく、収奪したものは総て補填するシフトをしている。
この観点からすると、ハウスの土壌もプラウによって改善できる筈である。そう考えていた矢先、これを実現している農家が熊本県にいることが分かった。三角町の高木理有氏がその人である。彼の記録をベースにその技術を紹介しよう。
彼はハウスの忌地対策に、小型の二段耕プラウを使っているのである。大型の二段耕プラウは地下休閑耕プラウとして一般圃に使われている。ダイコンなどを作り過ぎ、連作障害が発生した場合、作土30cmと心土30cmを上下層入れ換えて土壌を矯正しながら健全なダイコンを収穫する技術である。この小型をハウスに適用した。
一般圃でも、土地面積に余裕があれば、休閑緑肥栽培とするのが理想である。しかし、土地面積に余裕がなければ、そんな悠長なことはできない。とすれば、土地を縦に使う発想である。疲労した作土を下層に休ませればよいのである。層が厚いと言う前提で成立するが、これを阻む理由は何もない。
ハウスの中で地下休閑耕プラウを使うのは無理と考えられていた。あの大型プラウは施設内では動きに大きな制約があるからである。しかし、これは大規模圃場の感覚で考えるからである。必ずしも30cm―30cmの60cm耕法で総てに対応しようとしなければよいのである。
これまでの耕起深が20cm程度のことであれば、20cm―20cmであってもなんら差し支えないものである。ここで小型二段耕プラウ(写真2)の登場である。14インチのプラウの作業幅は36cmである。したがって、最大25cmの深さに耕起することができる。二つ合わせると全耕深は50cmである。この種のものは何馬力のトラクタでけん引できるのか。土質にも関係するが、20馬力以下のトラクタでは無理である。23馬力でもけん引できるが、余裕をもって作業しようとすれば25馬力以上のトラクタがよい。
わが国では小型トラクタが発達し、ほとんどが四輪駆動である。この場合、滑り率20%では自重の60%がけん引力になるとみてよい。さらに好都合であるのは、水田を走行するためにタイヤのラグパターンに工夫し、ハイラグにしている。これがよく土壌をグリップし、予想以上に大きなけん引力を引き出している。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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