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耕すということ

ハウスの土壌を甦らせる耕法

 また、小さな水田区画の中で作業するように工夫されているので、四輪駆動でありながら四行性に優れているのが特長である。施設の中の作業でも苦になることはない。水田よりも楽な感覚で作業できるのは強味である。

 地下休閑耕は土層が厚いと言う前提で成立する。下層に礫が存在する圃場では残念ながら適用できない。しかし、わが国の場合、特殊な地域を除いては土層は厚いものである。適用範囲は広いとみることができる。

 昭和30年より前の畜力時代は、下層土は化学性が劣悪であり、急激な深耕は避けることとされてきた。土壌改良資材が不足している時代にあっては止むを得ないことである。

 しかし現在は、土壌改良資材が豊富に出回っており、手軽に使える時代である。また、有機物に不足していても有機質肥料が各種市販されていて、補填は容易である。土壌改良に苦労することはない。

 下層土そのものも以前とは内容が異なっていると考えてよい。長年の多肥栽培でいろいろな要素が溶脱してきて下層に蓄積している場合がある。下層土を改良することに以前程は苦労しない時代であるとみて差し支えない。

 さらに幸いなことに、わが国の下層土は酸性化していることが多い。しかも、始末の悪い酸性ではない。アルカリ土を矯正するには手間も時間も、また、経費も要する。しかし、酸性土の場合、石灰を投与することで比較的容易に矯正することができる利点がある。

 これはまさに天の配剤であろう。わが国は、土地資源に不足しているので、少ない面積を縦に有効に使えと準備してくれたと思えることである。深耕し、土地を縦に利用することに特に大きな問題は認められない。

 小型二段耕プラウも単に使えばよいと言うことではない。高木氏はやはり篤農家である。土壌のメカニズムを知ってそれなりに工夫をするところが素晴らしい。

 まず連作トマトの茎葉の処理である。小麦ワラ処理と同様にロータリティラで細断し、土中に鋤込む手当てをする。トマトの茎葉は小麦ワラと違って水分が多いので、この処理によって短期間で腐植する。腐植を見計らってこれを最下層に鋤込むことは、有機質資源の活用であり、合理的である(写真1)。

 最近、農村の井戸水に硝酸態窒素の量が多くなり、健康を害するようになってきていることからなんらかの対策がなされなければならないとされている。いろいろな試験研究の中で、深い位置に有機物を鋤込むことが、硝酸態窒素の流失を阻止することに効果的なのだそうである。とすれば、この技術は地力保全と同時にその面でも役立つものであるかもしれない。

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