ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

耕すということ

ハウスの土壌を甦らせる耕法

 土を酷使し、薬剤漬け、肥料漬けでは余りにも無責任である。結局はそのことが消費者の信頼を得ることにもならず、また、出費だけ多くして身の破滅をきたす結果となる。

 ハウスの土をご苦労様と労うとすれば、時には二段耕プラウで疲労した土を下層に休養させることである。土は必ず蘇ると考えて差し支えない。また、仕事をしたいと訴えるであろう。ここには難しい学問も哲学も不要である。原理原則に忠実で、当たり前のことを励行するだけのことである。熊本県の高木氏は若いにも拘わらず、高木農場に蓄積されている技術を生かし、現代風の土への労りの技術を実証して見せてくれた。


写真1 トマト茎葉の前処理
 マルチフィルムは剥ぎ取って別に始末する。残った茎葉は大切な有機物資源であり、ロータリティラで細断し、土壌中に鋤込む処理をする。しばらく放置すると表層は地温が高いので、茎葉は充分腐植する。それを見計らって次はプラウ耕である。茎葉は生のまま鋤込んでよいことにはならない。

写真2 小型二段耕プラウ(地下休閑耕プラウ)
 第1ボトム(右側)は心土プラウで下層の土壌を耕起し、表層に反転する。第2ボトム(左側)は作土プラウであり、表層を20~25cmの深さに耕起して、心土プラウで耕起した櫪底に鋤込む。こうして土壌は上下層入れ替わる。ボトムの大きさは14インチであり、耕起幅は36cmである。

写真3 口開け作業(第1工程)
 最初に境界すれすれに走行し、土壌を内側に耕起する。縁も完全に耕起するためである。プラウはオフセット構造になっており、左右に移動させ位置を調節することができる。口開けの場合は、左側端までプラウを移動する。施設の中で制約された条件でも全面耕起する。

写真4 第2工程
 口開けが終了したら折り返しで内側に寄せた土壌を外に戻しながら耕起する。第1工程で内側に土壌を寄せているので、第1ボトムは45cmの耕起深であるが、外に出す土壌の量は比較的少ない。ボトムの位置調整を忘れてはならない。

写真5 第3工程
 施設内の狭い限られた場所での作業であり、第2工程が終ったら、プラウをリフトし、後進して元の位置に着き、次の耕起を開始する。この時から、正規の耕起となり、作土深25cm、その下心土深20cm、都合45cmの耕起となる。けん引トラクタの馬力は23psである。

写真6 作土の耕起深
 第2ボトムの作土プラウは14インチであり、20cm~25cm耕起することができる。写真は25cm耕起している場合である。ボトムプラウの特性で表層の疲労した土壌は有機物と共に心土の最下層に反転鋤込みされる。れき冠には石灰窒素を散布すれば、消毒効果もあって完璧に雑菌を封じ込めることができるであろう。

関連記事

powered by weblio