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「コメの値幅制限撤廃」報道を追う!
- 土門剛
- 1998年06月01日
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四月二九日付けの朝日新聞に、食糧庁が、自主流通米の入札で値幅制限を撤廃するとの記事が出ていた。
「コメ流通の主役で、農協などが公設市場の入札にかけて取引する自主流通米について、需給で価格が決まる市場原理を徹底するため、今年産米から入札の値幅制限が撤廃されることになった。これまで政府は、コメの価格安定などを理由に値幅制限を設け、コメ余りでも相場が一定以上は下がらないようにして農協や農家の保護を図ってきたが、今後は価格形成からいっさい手を引き、価格は市場に任せる。品質の良いコメは状況しだいで値上がりする可能性はあるが、全体としてみれば消費者はより安い実勢価格でコメが買えるようになるとみられる」
そして解説記事ではこう書いている。
自主流通米入札の値幅制限が撤廃されることで、コメの価格形成は完全に自由化され、国の全量管理だった旧食管法時代の名残は一掃される。不足すれば高くなり、余れば安くなるという市場原理を通じて需給調整を図る仕組みが、コメの世界にもやっとできる。 価格支持を失う農協組織は、卸業者との不透明な取引や、収穫時に農家に高い仮渡し金を前払いし、コメを集める従来の事業のあり方を根本的に見直さざるを得なくなりそうだ。
値幅制限撤廃に踏み切る背景には、昨秋決まった減反農家を対象にした所得補償制度の導入がある。コメ相場の下落時に、一定割合の金額を農家に補てんするもので、価格形成を市場に任せても、農家の所得はある程度確保される。
「コメ流通の主役で、農協などが公設市場の入札にかけて取引する自主流通米について、需給で価格が決まる市場原理を徹底するため、今年産米から入札の値幅制限が撤廃されることになった。これまで政府は、コメの価格安定などを理由に値幅制限を設け、コメ余りでも相場が一定以上は下がらないようにして農協や農家の保護を図ってきたが、今後は価格形成からいっさい手を引き、価格は市場に任せる。品質の良いコメは状況しだいで値上がりする可能性はあるが、全体としてみれば消費者はより安い実勢価格でコメが買えるようになるとみられる」
そして解説記事ではこう書いている。
自主流通米入札の値幅制限が撤廃されることで、コメの価格形成は完全に自由化され、国の全量管理だった旧食管法時代の名残は一掃される。不足すれば高くなり、余れば安くなるという市場原理を通じて需給調整を図る仕組みが、コメの世界にもやっとできる。 価格支持を失う農協組織は、卸業者との不透明な取引や、収穫時に農家に高い仮渡し金を前払いし、コメを集める従来の事業のあり方を根本的に見直さざるを得なくなりそうだ。
値幅制限撤廃に踏み切る背景には、昨秋決まった減反農家を対象にした所得補償制度の導入がある。コメ相場の下落時に、一定割合の金額を農家に補てんするもので、価格形成を市場に任せても、農家の所得はある程度確保される。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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