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【農業経営者ルポ】
「俺は逃げない」
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第30回 1998年07月01日
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宮本泰勇さん(49歳)の経営の中心は、40aのハウスと露地畑30aで行なう年間約40万ポットの花壇花の生産である。労働力は、今、宮本さんの元で後継者として修業中の息子の裕司君(22歳)と父上。常時3~4人のパートも雇用している。
畑では、ニンジンとバレイショも2haづつ作っている。その他、市役所に頼まれて街路樹の防除作業を裕司君の仲間の農業後継者たちとともに請負ったりもする。
花壇花を始めたのは約5年前。以前はハクサイを中心とした10haを越す大規模畑作野菜作経営だった。
ハクサイで数千万円というレベルの収益を上げることもあった。目論見がはずれることもあった。そんな儲けも大きいがリスクもある経営から、安定的な収益を上げる花壇花を経営のベースにしようと考えてのことだ。また、常に新たなテーマにチャレンジする父親の姿を子供に見せておきたいということもあったようだ。しかし、安定収入を狙った花壇花生産も、春先の休日に雨の日が多いと需要は落ちるそうだ。
宮本さんは、裕司君が成長するにつれて、若かった頃に父親とは違う経営や生き方を求めていた自分のことを思い出すようになった。一人前の大人になろうとしている後継者に残すべき物、親として伝えるべきこと、伝えることのできることとは何なのかを考えるようになった。宮本さん自身が、当時の父親の世代になったのだ。
宮本さんは言う。
「残すべきは『土』。そして伝えるべきことは『俺は逃げない』いう自分の生き様そのものしかないのではないか」と。
畑では、ニンジンとバレイショも2haづつ作っている。その他、市役所に頼まれて街路樹の防除作業を裕司君の仲間の農業後継者たちとともに請負ったりもする。
花壇花を始めたのは約5年前。以前はハクサイを中心とした10haを越す大規模畑作野菜作経営だった。
ハクサイで数千万円というレベルの収益を上げることもあった。目論見がはずれることもあった。そんな儲けも大きいがリスクもある経営から、安定的な収益を上げる花壇花を経営のベースにしようと考えてのことだ。また、常に新たなテーマにチャレンジする父親の姿を子供に見せておきたいということもあったようだ。しかし、安定収入を狙った花壇花生産も、春先の休日に雨の日が多いと需要は落ちるそうだ。
宮本さんは、裕司君が成長するにつれて、若かった頃に父親とは違う経営や生き方を求めていた自分のことを思い出すようになった。一人前の大人になろうとしている後継者に残すべき物、親として伝えるべきこと、伝えることのできることとは何なのかを考えるようになった。宮本さん自身が、当時の父親の世代になったのだ。
宮本さんは言う。
「残すべきは『土』。そして伝えるべきことは『俺は逃げない』いう自分の生き様そのものしかないのではないか」と。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
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