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読み切り

「株式会社の農地取得解禁」報道を解説する

6月1日の読売新聞一面トップに、「株式会社の農地取得解禁」の特ダネ記事がデカデカと出ていた。サブ見出しには、「政府検討戦後農政を転換」、「大規模経営に道」との字が踊っていた。これが本当なら、それこそ新聞のサブ見出しの通りに戦後農政の一大転換点となる出来事である。
そんな事実はありません


 筆者は、この記事が出た日の午後、たまたま農水省にいた。農地の担当課には、地方農政局からの事実確認の電話が入っていたが。応対に出た担当者は「そんな事実はありません」と答えるのがやっとだった。

 でもちょっと待って欲しい。クラブ詰めの新聞記者が勝手に記事を書くものか。記者クラブには1、2年しか在籍しない。そんな記者が農政大転換につながるような記事を勝手に書くわけがない。農水省幹部が、新聞記者にリークして書かせたとみるべきだ。それも何かの目的があってのことだと思った。

 しかもである。農水省官房を中心に進めている農業基本法の改正作業では、本問題が焦点の1つとなっていて、農業団体と産業界が解禁の是非をめぐって侃々萼々の議論を続けている、そんな最中である。そのタイミングといい、何かワケありの特ダネであることは間違いない。農水省が、農政大改革に踏み切るべくアドバルーンを上げてきたのか。それとも新聞記者が作り出した特ダネなのか。その真意はいまだ不明だ。


賛否両論


 その前に株式会社の農地所得解禁について簡単に整理しておこう。

 農地法第2条は、株式会社の農地所有を原則禁止している。

 まずは反対論。「自然を相手とする農業には株式会社はなじまない。あくまで家族農業が基本。株式会社に農地所有を認めれば、農村社会が成り立たなくなる」。「株式会社に農地所有を認めれば、総合商社など大資本が農地を買い占め、農業以外の目的に使ったり、あるいはリゾート用地などに転売してしまう。従って株式会社に農地の所有を認めるのは、原則、反対である」

 次いで賛成論。「株式会社形態による農業経営は、家族労働よりも高い生産性が期待でき、規模拡大や設備投資などに必要な資金調達力もある。家族経営はドンブリ勘定になりがちだが、株式会社は、経営ノウハウやマーケティングに優れた能力を発揮でき、労働力の確保も容易となる」。「反対論者は、リゾート用地などに転売すると恐れているが、厳しい転売規制をかければ何の問題もない」

 本問題に対する賛否両論を整理すれば、反対意見は多分に感情論に根ざし、賛成論は農業の将来に道を開こうという立場からの意見のようである。筆者なりに整理しておく。

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