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今朝のイチオシは、「農地価格が15年連続で下落 買い手減少や米価低落など響く」のニュース。その前にイチャモンを一つ。純農村地域の田畑の売買価格が、中田で10a当たり138万8000円と、また中畑は97万2000円という数字、ちょっと高すぎると思いませんか。大潟村でも、こんな値段はそうめったやたらにはついていないと思いますよ。全国農業会議所、いったいどこを調査したのでしょうか。山形県某市の農業委員会の会長さんは、「この辺じゃ、山に近い中田で20万円台での売買の事例もあるよ」と教えてくれたことがありました。農地の価格つり上げを狙った全国農業会議所の「陰謀」か?。それはそれとして15年連続で下落した農地価格も、「買いのチャンス」がやってきたというのが筆者の予想です。海外では、農地を買い漁る「農地ラッシュ」が起きているのに、日本だけは真逆の事が起きているのです。いつまもこんなことが続くと思いません。少々やけくそですが、地価下落をみて、つい相場の格言を思い出してしまうのです。「余る余るは足らぬの始まり」。豊作にうりなしとも言いますね。つまり、市場においては荷余りという状態になっているときは、その圧迫で相場は押しつぶされいるわけですが、同時に安値で需要が拡大され、在庫投資が行われているときでもあります。つまり下げは上げの芽をつちかっているのです。相場の表と裏は異なります。それと忘れてならないのは、地価形成の構造的分析です。ちょっと難しい言葉を使いましたが、日本の地価は多分に路線価評価によって形成されています。本来は地力評価によって形成されるべきですよね。よって農地は、景気に敏感に反応する路線価評価に沿った地価形成となるのです。ところが農産物市場はこの不況下にもかかわらずしっかりとしたものに一定の評価はついています。今後も、この傾向は続くと思います。ということは、路線価評価が低い土地でも地力評価の高い農地が、いずれ値段を上げてくることは誰が見ても明らかではないでしょうか。この農閑期、各地に講演に出かけて、生産者などに「農地は、ここ2,3年が買い!」と大いに煽ってきました。純農村地帯では地力がある田が10アール30万円台前半で売りに出ている話も耳にします。この地価なら、現行米価でも3年ぐらいで買えてしまうかもしれません。こんな投資物件、どこにあるでしょうか。もし外国人でも農地が買えるとなれば、上海の金持ちは農地を買いまくるでしょうね。実は、外国人でも買うことができる山林は、すでにチャイニーズが買っているそうですが。最後に、もう一つの相場格言を紹介しておきましょう。「冷水三斗で底が入る」。もうこの辺が底だろうと思って買いに出ると、大量の売り物が出る。最初のうちは何とかナンピンして耐えるが、更に大量の売りが出て最後は追い証で投げさせられる。その後、株価は何事もなかったように急回復。まあ、よくあるパターンです。結局、株価の天底などというのは、神様でもない限り分かりません。1斗すなわち18リットルの冷水を三斗もぶっかけられ、誰もが震え上がるぐらいの恐怖を覚えなければ、底は入らないということ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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