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農業経営者ルポ

「経営者」を目指すなら原点を持て

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第32回 1998年09月01日

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横森正樹さん(58歳)の住む長野県南佐久郡八千穂村八郡は、千曲川源流部の山合いの集落である。谷の傾斜に沿って階段状に広がる集落は典型的な中山間の村だ。
 横森正樹さん(58歳)の住む長野県南佐久郡八千穂村八郡は、千曲川源流部の山合いの集落である。谷の傾斜に沿って階段状に広がる集落は典型的な中山間の村だ。

 横森さんはそこで約6haの野菜作を経営する。畑は標高850m前後の自宅周辺の約3haと、標高1050mの山の上に基盤整備をして開かれた約3haの2ヵ所。面積だけを聞けば比較的規模の大きな高冷地野菜農家のイメージだが、ほとんどは減反で放棄された小さな転換畑だ。沢地で水の出る場所も多い。自宅周辺の畑では1枚50坪位のものを含め22枚の畑で3ha。山の上の畑にしても25aから65aまでの畑を組み合わせたものだ。

 そんな文字通りの中山間地で露地野菜経営をする横森さんは、とかく農業界で語られる「中山間地だからの制約がある」という議論に異を唱える。

 「問題なのは作る条件でない。『いかに作るか』だけでなく『どう売るか』までを考えてこそ経営。合理的で企業的な経営方法さえ考えれば十分に儲かる方法はある。野辺山や川上村などの広い畑を見れば羨ましいと思う。でも、平場の規模の大きな農家が儲かっているとは限らない。むしろ小さいからこそ農業の原点を守った本来の農業が出来るということだってある。問題は畑の大小ではなく経営能力の問題なのだ。それができないのは、農家に自ら考えようとする意志が無く、工夫がないから。ただそれだけ」

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