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研修生たちに話す最初の言葉は
「勉強なんかさせないよ。それが解らないのなら早く出ていけ。受け入れた以上は100%成功できるように指導する。だけど決して引き止めたりはしない。嫌なら止めろ。それが経営者修業なのだ」と。
研修後に自立した新規就農者にも、農地の世話や売り先の案内もする。独立して一人前になるまでは指導を続けるし、アドバイスや援助もする。そして、耕うんなどの重作業には横森さんの機械を貸し、安易に投資をすることを戒める。全面マルチなどの作業はあえて人力でやるように指導する。機械が無いからではない。その苦労を彼らの経営の原点にさせたいからだ。それを知ることが、経営にとって必要な投資とは何かを教えるためだ。
群馬や長野で5ha程度の高原野菜を作る農家の場合、仮に1千万円の売上があっても経費が7割位になっている農家も多い。市場価格が跳ねた時には収益が出ることがあっても、それでは安定的な経営は成り立たない。
でも、横森さんの所で「修業」した研修生は、1.5haの面積で700万円位は売上げている。しかも経費は300万円程度に抑えられている。
「自活した当初ならそれでも我慢は出来るはず。その我慢ができないのなら農業経営なんて止めた方がよい。最初から欲を出すような者、楽を求めるような奴では駄目。足りなければ冬場に土木工事にでも出ればいいのだ。でも、彼は規模の大きな高原野菜農家より利益率も高く、将来も見える経営になっているはずだ」と経営者としての「修業」の大事さ語る。農家が儲からないというのも同じ理屈だと言う。
「簡単なことです。それは農家が農業の本質を忘れているから。農業の原点はまず土作り。そして次に体を張る事。体でやって出来ない部分に機械を使う。それが、今や逆転して、機械に乗り、肥料や農薬を撒くことが農業だと考えるようになってしまった。体で出来る部分をちゃんとやればそんな過剰投資する必要も無い」
悪条件だと言う中山間地であればこそ、そんな農業の原理原則が見えてくる。悪条件こそが経営者を育てるのだ。
「生産を上げるために機械を買うのならともかく、ほとんどの農家は楽をするために機械を買う。それは『経営者の判断』ではなく『労働者の要求』だ。それでは利益が出るわけが無い。そこに企業や農協に振り回されてしまう背景がある。条件にあった形でやれば農業みたいに儲かる商売はない。特に畑作的露地野菜は、施設園芸や畜産などと比べて技術水準が低く経営者の意識改革も遅れているから」と話す。
だとするなら、儲かっている今の内に、自分の規模や気持ちに合った流通とつながっていくことで未来を固めるべきなのだ。流通や消費の業界と本当に組めないようではやっていけないだろうという。
そんな横森さんは、これまでの農業経営者としての体験や人間関係を元に、各地の力のある農業経営者と農業の原理原則を理解する産業人たちとが手を組んだ、農産物の新しい生産・流通のネットワークを作ることを、これからのライフワークにしたいと意欲を燃やしている。
横森正樹さん
【プロフィール】派米研修から帰国後、プラスチック加工の工場を経営。その後、昭和51年農業を再開、中山間地の露地野菜経営に取り組む。生産した野菜を食材として使う観光客向けの割烹食堂も経営する。農業の理念を理解する企業とも組んで農産物の新しい流通事業を立ち上げることに意欲を燃やしており、また国内外の研修生の育成にも熱心だ。
「勉強なんかさせないよ。それが解らないのなら早く出ていけ。受け入れた以上は100%成功できるように指導する。だけど決して引き止めたりはしない。嫌なら止めろ。それが経営者修業なのだ」と。
研修後に自立した新規就農者にも、農地の世話や売り先の案内もする。独立して一人前になるまでは指導を続けるし、アドバイスや援助もする。そして、耕うんなどの重作業には横森さんの機械を貸し、安易に投資をすることを戒める。全面マルチなどの作業はあえて人力でやるように指導する。機械が無いからではない。その苦労を彼らの経営の原点にさせたいからだ。それを知ることが、経営にとって必要な投資とは何かを教えるためだ。
群馬や長野で5ha程度の高原野菜を作る農家の場合、仮に1千万円の売上があっても経費が7割位になっている農家も多い。市場価格が跳ねた時には収益が出ることがあっても、それでは安定的な経営は成り立たない。
でも、横森さんの所で「修業」した研修生は、1.5haの面積で700万円位は売上げている。しかも経費は300万円程度に抑えられている。
「自活した当初ならそれでも我慢は出来るはず。その我慢ができないのなら農業経営なんて止めた方がよい。最初から欲を出すような者、楽を求めるような奴では駄目。足りなければ冬場に土木工事にでも出ればいいのだ。でも、彼は規模の大きな高原野菜農家より利益率も高く、将来も見える経営になっているはずだ」と経営者としての「修業」の大事さ語る。農家が儲からないというのも同じ理屈だと言う。
「簡単なことです。それは農家が農業の本質を忘れているから。農業の原点はまず土作り。そして次に体を張る事。体でやって出来ない部分に機械を使う。それが、今や逆転して、機械に乗り、肥料や農薬を撒くことが農業だと考えるようになってしまった。体で出来る部分をちゃんとやればそんな過剰投資する必要も無い」
悪条件だと言う中山間地であればこそ、そんな農業の原理原則が見えてくる。悪条件こそが経営者を育てるのだ。
「生産を上げるために機械を買うのならともかく、ほとんどの農家は楽をするために機械を買う。それは『経営者の判断』ではなく『労働者の要求』だ。それでは利益が出るわけが無い。そこに企業や農協に振り回されてしまう背景がある。条件にあった形でやれば農業みたいに儲かる商売はない。特に畑作的露地野菜は、施設園芸や畜産などと比べて技術水準が低く経営者の意識改革も遅れているから」と話す。
だとするなら、儲かっている今の内に、自分の規模や気持ちに合った流通とつながっていくことで未来を固めるべきなのだ。流通や消費の業界と本当に組めないようではやっていけないだろうという。
そんな横森さんは、これまでの農業経営者としての体験や人間関係を元に、各地の力のある農業経営者と農業の原理原則を理解する産業人たちとが手を組んだ、農産物の新しい生産・流通のネットワークを作ることを、これからのライフワークにしたいと意欲を燃やしている。
横森正樹さん
【プロフィール】派米研修から帰国後、プラスチック加工の工場を経営。その後、昭和51年農業を再開、中山間地の露地野菜経営に取り組む。生産した野菜を食材として使う観光客向けの割烹食堂も経営する。農業の理念を理解する企業とも組んで農産物の新しい流通事業を立ち上げることに意欲を燃やしており、また国内外の研修生の育成にも熱心だ。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
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