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質問 作付けはどの程度に?
土門 県の部長が示したデータだけでは20年産の作付け状況は把握できない。ある程度正確に把握しようと思えば、昨年まで減反に参加して、今年からフリー作付けに転向した生産者の増反分をカウントしなければならない。県内各地の商人系業者にチェックを入れると、国の方針をあざ笑うかのように順調に種籾は売れている。正確な数字は把握できないが、先の契約分1000haぐらいは、新規増反で帳消しになることもあり得る。契約をしておいて補助金だけをツマミ食いしてフリー作付けに走る不届き者も出てくるに違いない。
質問 福島県農林水産部は「粘り強く取り組むには時間が足りなかった」と弁解していますが。
土門 最初からやる気がなかっただけではないかな。1月18日の福島県水田農業改革推進大会には、県とJAが動員をかけて飯坂温泉に1000人も集めて来賓の農水省計画課長氏の前で参加者全員が「過剰作付け解消への全力投球する」との決意表明を採択している。もし20年産も過剰作付けが解消されないとなれば、計画課長氏の面目丸潰れだな。
質問 過剰作付けそのものを福島県は、統計の間違いではないかと反論したそうですね。
土門 地獄耳だね。でも当局の説明では、稲穂が青々と茂った衛星写真を見せつけられて「参りました」と観念したそうだよ。
質問 隣の宮城県はどうですか。
土門 主産地では農水省のランク付けではワースト9の産地だ。主産地の動向を知るにはちょうど平均的な産地かな。河北新報3月9日付けでは、県内生産者300人を対象に実施した減反にまつわるモニター調査の結果を報じている。記事は、「生産調整の実施状況と今後の取り組み方針(複数回答)については、個人で実施する割合が10.0ポイント下がるものの、集団での実施は、その半分の5.0ポイントしか増えていない。国が推進しようとしている集団転作が大きな流れとなっていないことが読み取れる。今後、転作を実施しないとする農家も、従来の8.3%から11.3%に増え、農家の生産調整離れがさらに進みそうな雲行きだ」という内容だ。系統集荷が強い宮城県でも国の方針に忠実かと思っていたが、ここでもフリー作付け組が着実に増えてきている。
質問 作付面積が7.7%も減らされた新潟県はどうですか。
土門 農水省によればワースト3の産地だ。本来なら「売れる産地」のはずだが、最近は「売れない産地」の筆頭格になってしまった。18・19年産は政府米のお買い上げがダントツの7万トン(全体34万トン)だった。05年から導入したてコシヒカリBLが、不評で大量に売れ残ったのだ。政府米として買い上げの代償が減反強化につながった。
土門 県の部長が示したデータだけでは20年産の作付け状況は把握できない。ある程度正確に把握しようと思えば、昨年まで減反に参加して、今年からフリー作付けに転向した生産者の増反分をカウントしなければならない。県内各地の商人系業者にチェックを入れると、国の方針をあざ笑うかのように順調に種籾は売れている。正確な数字は把握できないが、先の契約分1000haぐらいは、新規増反で帳消しになることもあり得る。契約をしておいて補助金だけをツマミ食いしてフリー作付けに走る不届き者も出てくるに違いない。
質問 福島県農林水産部は「粘り強く取り組むには時間が足りなかった」と弁解していますが。
土門 最初からやる気がなかっただけではないかな。1月18日の福島県水田農業改革推進大会には、県とJAが動員をかけて飯坂温泉に1000人も集めて来賓の農水省計画課長氏の前で参加者全員が「過剰作付け解消への全力投球する」との決意表明を採択している。もし20年産も過剰作付けが解消されないとなれば、計画課長氏の面目丸潰れだな。
質問 過剰作付けそのものを福島県は、統計の間違いではないかと反論したそうですね。
土門 地獄耳だね。でも当局の説明では、稲穂が青々と茂った衛星写真を見せつけられて「参りました」と観念したそうだよ。
質問 隣の宮城県はどうですか。
土門 主産地では農水省のランク付けではワースト9の産地だ。主産地の動向を知るにはちょうど平均的な産地かな。河北新報3月9日付けでは、県内生産者300人を対象に実施した減反にまつわるモニター調査の結果を報じている。記事は、「生産調整の実施状況と今後の取り組み方針(複数回答)については、個人で実施する割合が10.0ポイント下がるものの、集団での実施は、その半分の5.0ポイントしか増えていない。国が推進しようとしている集団転作が大きな流れとなっていないことが読み取れる。今後、転作を実施しないとする農家も、従来の8.3%から11.3%に増え、農家の生産調整離れがさらに進みそうな雲行きだ」という内容だ。系統集荷が強い宮城県でも国の方針に忠実かと思っていたが、ここでもフリー作付け組が着実に増えてきている。
質問 作付面積が7.7%も減らされた新潟県はどうですか。
土門 農水省によればワースト3の産地だ。本来なら「売れる産地」のはずだが、最近は「売れない産地」の筆頭格になってしまった。18・19年産は政府米のお買い上げがダントツの7万トン(全体34万トン)だった。05年から導入したてコシヒカリBLが、不評で大量に売れ残ったのだ。政府米として買い上げの代償が減反強化につながった。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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