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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

長野県栄村役場の場合

特定農山村地域に分類される長野県栄村では、国の整備事業とは別に、村独自の田なおし事業(小規模基盤整備事業)を実施している。田なおし事業は、2分の1補助、農家負担が10a当たり20万円を目安に行われている。棚田等の設計図面なしで、農家、オペレーター、役場職員の三者で話し合い、整備内容、金額等合意を得たところで即着工する。国の補助事業では、多人数の受益者の合意が必要であり、着工までの時間が長く、高額負担を求められる。栄村の田なおし事業は今までの圃場整備事業に一石を投ずるものであろう。
関 農業では、機械、品種、農法といった問題もありますが、基本的には基盤が出来ていないと、何をするにもその本領が発揮されません。後の人に継いでいくのにも、基盤ができていないのに継げというのは通らないことです。ですので、何らかの形で、効率のよい圃場整備が必要となってきます。

 今までは、今ある制度が前提となって物事が進んできましたが、ここに来て状況が変わり、自分達の力で整備をしていこうという考え方が出てきました。私は、圃場の選択ができるという方が本来の姿であろうと思うのです。

市川 今迄は、国が日本全体に一つの農業構造政策を実施してきたのが現実です。これからは、地域性を考え、地域の人々が提案していく時代になったと思うのです。その一つとして、田なおし事業も新しい政策として出てきました。栄村は農林を柱としています。基盤整備も農家主体で行われなければ、中山間地は潰れてしまいます。

 今迄は補助事業を入れると10a当り200万かかることもありました。しかし、農家が圃場整備をするにしても、農家負担、つまり農家の収入を考えないと無理がきます。今回の圃場整備も農家の平均所得計算から、農家当り20万円が限度であるだろうということを基本姿勢としています。

関 農家はある意味でいうと、国家から固定資産税を取られながら管理人をさせられている面があります。十分利益の出ていないところでは、緑化管理人とさせられている面があります。地形を直す為に自分の懐から金を出させて“後20年自分の土地にしがみついていろ”というのは何かおかしいなと感じます。

市川 緑を守るとか、棚田を守るというのは無理な話しだと思います。

関 圃場整備事業の場合は、圃場そのものの規格というより、道路や水路の規格という公の土地の官地になる所に受益者が金を出すという仕組みになっている。

市川 圃場整備では最短基準を取っていて、必要のない過大なものを作る傾向にあります。田なおし事業では、農家が必要なものは知っているわけですから、必要最小限としています。必要のないものは作る必要がないですから。これが工事費削減にも繋がります。

関 オーダーメードということは農家の意向が大きく反影するわけですか。

市川 100%反影します。田なおし事業は、地主とオペレーターと職員の3者が、図面を作らずに、圃場の区画から費用まで十分話し合った上で行われます。

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