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特集

直播栽培をどうとらえるか

第5回全国水稲直播サミットが、北海道美唄市と札幌市において8月25、26日の両日開催された。水稲の直播は21世紀農業のキー・テクノロジと言われるが、これからの直播栽培について考察してみよう。
 第5回全国水稲直播サミットが、北海道美唄市と札幌市において8月25、26日の両日開催された。水稲の直播は21世紀農業のキー・テクノロジと言われるが、これからの直播栽培について考察してみよう。


技術的に充足し将来は有望だが、普及の壁は小規模な経営面積

((社)北海道農業機械工業会専務理事 村井信二)

労働時間は40年間で1/10に短縮

 アメリカやイタリアでは直播栽培が行われ、収量も多く品質もよい。何よりも低コストで生産されている。国際化を目指そうとすれば、直播栽培でなければならないとされるが、これが遅々として進展しない。何故であるかを冷静に考えてみる必要がある。

 我が国の場合、一戸当たりの水稲の作付け面積はそう大きくはない。必然的に単位面積当たりの収量を安定的に多くし、経営基盤を固めなければならない。直播か移植かとなれば、誰しもが移植栽培を選択するであろう。移植栽培は手間を要するとされても技術が普遍化し、生育・収量が安定している。移植栽培からの脱却は困難である。

 東南アジアの稲作を考え合わせてもよい。我が国よりも気象条件に恵まれていても、直播栽培を指向する気配はない。もちろん、二毛作あるいは三毛作の関係から、作期を短縮するために、移植栽培を選択せざるを得ない条件下にあるとも言えるが、この場合とて元をただせば、単位面積当たりの最大限の収益を上げないと、経営的にやっていけないからである。

 直播栽培を推進しようとすれば、大規模農家を育成することが先決であろう。現在の経営基盤で、直播栽培を指向することにはならないと考えられる。

 わが国の農業は、工業に比べおくれていると批判されることが多いが、技術的には必ずしも遅れているとは言えない。北海道の水稲収量、労働時間などの推移を図1に示したが、10a当たり170時間であった労働時間は、この40年の間に1/10の17時間に短縮されている。最近、ハウスへの苗箱並べ機が開発され、さらに苗箱取り、搬送機が陽の目を見ようとしている。これが完成すれば、10a当たり10時間にはなろう。さらに、時間当たりの生産量が増大することは言うまでもない。

 技術的には遅れをとってはいない。ただ経営面積が少ないばかりに、移植栽培を選択せざるを得ず、生産コスト面に大きなハンデを背負っているのである。直播栽培で世界に伍するには現在の経営形態では無理であり、法人化を促進するなり何なりと新しい施策で規模を拡大するより解決の道はないと考えられる。

 表1に平成10年度の直播栽培面積を示した。湛水直播と乾田直播で7910haに過ぎない。この面積は水稲作付け面積の0.4%程度のものであり、残念ながら関係者の努力にもかかわらず、微々たるものである。

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