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現状、関係者は努力して日本風の直播栽培技術体系を組み立てることに懸命である。しかし、収量・品質において移植栽培を上回ることにはなっていない。この環境でこの技術、そのことは評価されるとしても収益性は移植栽培に劣っている。
とするなら、今、なぜ直播栽培かということになろう。現在、唯一直播栽培をするメリットは、婦人労働力に依存することなく、男手だけで作業できることである。婦人は欧米並みに家庭に戻し、農作業には従事させない、あるいは、増えつつある野菜作に従事させ所得増を狙うことに尽きると考えられる。
直播栽培の将来性についてはどうか。これについてはかなり有望と考えられる。いずれ直播向け品種も育成されるであろうし、経営規模を拡大し、直播栽培のできる組織も編成することであろう。
しかし、直播栽培が移植栽培を凌駕することにはならないと考えられる。移植栽培にも革新的技術が生み出されて低コスト化へ導かれるであろうし、何といっても移植栽培は技術が普遍化し安定性が大きな魅力である。同じ経営内においても移植栽培に直播栽培を組み入れて拮抗させながら進展するであろうと予測される。
グループ育成と機械を使いこなせる環境作りの重要性
常々感じることであるが、畑作農家と稲作農家の間には基本的な違いがある。畑作にも政府の支援があるとしても、稲作程ではない。特に豆作を主体にする畑作農家は、自由相場の中にあって、厳しい状況分析をし、作目の選択、面積規模の設定、販売時期などについて経営感覚を働かす。
稲作農家は全量政府買い上げであったことから国家公務員であると豪語したこともあったくらいである。それほど主食を確保することは重要であったわけであるが、その政府依存の体質が自立性を失わせ、自らが新技術の開発に取り組む意欲に乏しい傾向にあると言えよう。
水稲の直播栽培を見るに、個別で成功している例は少ない。ほとんどがグループ活動で功を奏しているのは、畑作農家と稲作農家の体質の違いと考えられる。直播栽培はグループリーダーがしっかりしていて、合議で新技術を検討してそれぞれが納得の上で布石し、リスクを分かち合いながら取り組むことで成功していると言える。畑作のように、個別でも新技術に取り組むような体質にはなっていないだけに、直播栽培を推進するについては、グループ育成も大切な条件であると思える。
ともあれ、わが国にはわが国の農業事情があり、外国の先進事例を持ってくれば全て解決するといったような、単純なものでないことは理解しなければならない。今年の直播栽培の実演会を見れば分かるように、湛水直播においても、乾田直播においても、実に緻密な技術の組み立てである。芸が細か過ぎるのが欠点と言われようとも、それはその必要があって生み出されたものであり、わが国の技術として評価してよい。技術的にはほぼ不足がなくなったと言ってよいであろう。
とするなら、今、なぜ直播栽培かということになろう。現在、唯一直播栽培をするメリットは、婦人労働力に依存することなく、男手だけで作業できることである。婦人は欧米並みに家庭に戻し、農作業には従事させない、あるいは、増えつつある野菜作に従事させ所得増を狙うことに尽きると考えられる。
直播栽培の将来性についてはどうか。これについてはかなり有望と考えられる。いずれ直播向け品種も育成されるであろうし、経営規模を拡大し、直播栽培のできる組織も編成することであろう。
しかし、直播栽培が移植栽培を凌駕することにはならないと考えられる。移植栽培にも革新的技術が生み出されて低コスト化へ導かれるであろうし、何といっても移植栽培は技術が普遍化し安定性が大きな魅力である。同じ経営内においても移植栽培に直播栽培を組み入れて拮抗させながら進展するであろうと予測される。
グループ育成と機械を使いこなせる環境作りの重要性
常々感じることであるが、畑作農家と稲作農家の間には基本的な違いがある。畑作にも政府の支援があるとしても、稲作程ではない。特に豆作を主体にする畑作農家は、自由相場の中にあって、厳しい状況分析をし、作目の選択、面積規模の設定、販売時期などについて経営感覚を働かす。
稲作農家は全量政府買い上げであったことから国家公務員であると豪語したこともあったくらいである。それほど主食を確保することは重要であったわけであるが、その政府依存の体質が自立性を失わせ、自らが新技術の開発に取り組む意欲に乏しい傾向にあると言えよう。
水稲の直播栽培を見るに、個別で成功している例は少ない。ほとんどがグループ活動で功を奏しているのは、畑作農家と稲作農家の体質の違いと考えられる。直播栽培はグループリーダーがしっかりしていて、合議で新技術を検討してそれぞれが納得の上で布石し、リスクを分かち合いながら取り組むことで成功していると言える。畑作のように、個別でも新技術に取り組むような体質にはなっていないだけに、直播栽培を推進するについては、グループ育成も大切な条件であると思える。
ともあれ、わが国にはわが国の農業事情があり、外国の先進事例を持ってくれば全て解決するといったような、単純なものでないことは理解しなければならない。今年の直播栽培の実演会を見れば分かるように、湛水直播においても、乾田直播においても、実に緻密な技術の組み立てである。芸が細か過ぎるのが欠点と言われようとも、それはその必要があって生み出されたものであり、わが国の技術として評価してよい。技術的にはほぼ不足がなくなったと言ってよいであろう。
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