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特集

直播栽培をどうとらえるか

 また、「田圃の面積が多いので、直播を終えると残りの面積が減って気が楽になる」「果樹管理などに忙しいので、水稲関係で省力できるのは良い」などが挙げられています。

 一方マイナス面から直播に挑戦しない農家の代表的な考え方として、20haを越える水稲生産を行っている福島県の方の「芽が出るか、苗立ちの数は適当か、鳥が来て悪さをしないだろうか、などと農家が毎日心配しなければならない栽培法は決して望ましいものではない」との指摘があります。 プラスを生かすか、マイナスを考慮して挑戦しないか、流行りの言葉で言えば農家の自己責任で選択すべきことでしょう。

 本誌の別の記事で解説されていますので、ここでは少しトーンを変えて、直播に取り組む新たな視点を求めて述べることとします。


【直播栽培は「生産システム」であること】

 土を耕し、肥料をやり、水を入れ、水を落とし、種を播き、草を抑え、病気を防ぎ、虫を除け、鳥を追い、倒れないように土を固め、そして収穫作業へ。これらの一連の作業や管理によって稔を得ます。

 システムとして捉えようというのは、これらの作業や管理の目標がそれぞれ独立しているのではなく、お互いに関係し、かつ気象条件も含めその時の経過に即応して判断、実行する必要があるからです。単純な作業マニュアルとして捉えては、少なくとも技術を習得しきれるまでは、直播の成功は期待薄となります。さらに、システムであることの特徴として、技術体系の習得に当たって、システムそのものが持つ弱点とシステムに不慣れであるために生じた弱点とを見極めて対応する必要があります。例えば、播種作業が順調に進まなかったとき、たまたま機械の調整や圃場の準備の状態が不適切だったのか、そもそもその機械の機構から不十分な作業結果しか得られないのかを、見極めなければいけません。その判断に応じ対応策が図れます。判断のためには多くの事例に接することが力となります。仲間と一緒に研究会を組んで体験を共有したり先進地に学ぶことなどが有効です。


「大区画圃場は直播に適しているか」

 作業の効率化を図るには、圃場の区画はある程度大きいに越したことはありませんが、移植栽培よりきめ細かな水管理を要し、また播種するときの土壌条件にムラを作らないようにしなければならない、などの目的に合わせようとしますと、大区画圃場が直播向きとは一概に言えません。むしろこれらの管理目標を実現するときには、大区画であることは厳しい条件ともなります。苗立ち状況にムラを生じないためにも圃場の均平をはからなければなりませんが、一方では用排水の円滑な管理のために溝切り(作溝)などの補助作業が必要となります。

 均平のためには近年営農利用が普及してきたレーザー均平法の活用が期待できます。その場合でも、耕作期間を通じ均平度が維持されるよう配慮が必要です。

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