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GM潰しの代償
その様な罵声を浴びせられる環境の中で、放送大学北海道学習センター所長で元・北海道大学農学部名誉教授の冨田房男先生や同大学大学院農学研究院教授の浅野行蔵先生から、励ましとご指導をいただいていることは心から感謝している。
後から分ったことだが、北海道大学の中でも「GMを推進する」と発言できる先生が数名しかいないといういう事実は、北海道の未来を象徴するものだろう。
その数少ないGM推進者の前で、あるバイオ関係企業の社長は、「北海道にはパイオニア精神を持った農家はいませんね」と発言した。それを目の前で聞いた時には、事実を語られた情けなさに何とも言えない空しい気持ちになった。
とはいえ昨年12月、農水省は国産GM作物の開発計画を発表した。これにより、ようやくGMの作物が影の存在から表に出る可能性が出てきた。
それにしても遅すぎる対応だ。収量増産、機能性、環境対応性など可能性が溢れているGM作物の未来を潰したのは農家である生産者だ。「バイオ」、「BIO」と呼ばれて20年以上の年月が経つが、生産者が現場で使える唯一の技術を自らの手で潰すことの意味を分かっている者が何人いるのだろうか。
米国と日本の状況の違いも気になるところだ。特にはっきり違うのが、GM技術を利用しているアメリカ人の国家に対する信頼感だ。子供の同級生にアメリカ人がいるが、その人に、「GM作物は誰が安全と言ったのか?」と聞かれ、FDA(米国食品医薬品)と日本の厚生労働省だと答えた。そのアメリカ人は、「じゃ~何も問題ないじゃないか。なぜ日本人はそんなに反対するんだ?」と発言した。日本の学校で日の丸、君が代を歌わせないことが当たり前で、それを支持する親たちからマトモな子供が生まれるはずがない。少なくても米国とは20年の差が開いていると認識すべきである。
東アジアの民達よ、あなた方が独自の文化を持つ意義は何なのか?その代償は反対した生産者と消費者と呼ばれる方々にしっかり支払っていただくのが筋だろう。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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