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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

福井県・片岡仁彦さんの場合

 この地域での経営は、零細で、トラクターも20ps程度のもので、現状維持が精一杯というところでした。

 このような背景の中からは、経営の改善はなかなか生まれずらく、その結果としか言いようのない荒れた畑が回りには点在していました。

 彼等は、そのような荒廃地を借り受けて、改良し畑作に取り組もうということでした。

 その計画に賛成できたのは、この土壌が、改良さえすれば大変に生産力を保証できる種類のものであったからです。

 土性、これは土壌の粒径の違いによって粗い/細かいに分別するものですが、この土は粗い砂壌土でした。

 現段階では、たまたま20cm以下が硬く、圧密していますが、これをサブソイラーにより心土破砕すれば、心土の縦浸透による地下水の流れが生じて、表層土の根の生育に大きな変化が生まれて、高い生産力のある圃場に変わるはずです。

 これが、このようなサラサラとした砂壌土だから改良し易いのですが、強い粘性を持った土では難しいことです。

 よく粘土質の改良には堆肥のような有機物を入れて物理性をよくしなさいと指導機関は言いますが、現実には借地で短期間に勝負するのにはとても間に合う話ではありません。

 自作地を持たない積極的な借地農業は、今後、最も成長を見込める形態ですが、その借り入れる農地をよく選べる能力が必要です。

 次に片岡さん自身の取り組んでいる11haの水田転作による大豆栽培の状況を調査しましたが、前代未聞の秋の長雨、台風、高温多湿、これらが9月10日頃までの順調な大豆の生育を全てゼロにする結果となってしまいました。

 この水田転作は、灰色低地土に属する土壌であり、その排水性はよく、転作田としては一級品ともいえる水田地帯でした。

 そして、大豆作のそれぞれの管理作業も適期に中耕除草、防除等が行われており、最後の念実を待つだけだったことが現場でよくわかりました。

 収穫作業をしても、そのコンバイン代もでないような状況ですが、農業共済に加入していたということで、何とか最悪の事態はまぬがれそうだということです。

 大豆が立毛状態で、さやの中で念実前にカビが生え、腐ってしまったというのは、大豆作の長年の経験者に聞いても珍しいことのようです。

 これは今年の状況ですが、ここの圃場は、このような秋の異常気象がなければ、確実に大豆多収を狙える場所であることは間違いありません。

 また、このように転作に適した水の縦浸透がよい水田地帯は、稲作もやりやすい場所になります。

 日本全国に、この種の灰色低地土は耕作全面積の22%程度となりますが、この土と取り組んでいる人は是非このことをよく考えて下さい。

 そして、Uターンや新規就農者は、まず周りの人々の言うことを先入観を持たず、本当はどうなんだろうと疑問を持ち続けることと、成功例、失敗例をたくさん見せてもらって、自分の経営を目指すものに近づけていくべきだと思います。

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