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座談会

「農業経営者とは誰のことか!?」

昆:政府の管理と、指導と保護において行なわれる、正にこれが開発途上国だと思っているんです。実は先進国というのは農家ではなくて、民間人である農業経営者が、自分達の「権利と義務」じゃなくて、「誇りと責任」において果たしていくということ。そんな大層なこと考えなくても経営者の方々っていうのは、結果としてそういう役割を果たしていらっしゃるんじゃないかなという気がするんですが。

大泉:つまりね、それは、自由な参入と撤退の自由、特に撤退の自由がないからこうなっちゃったと思うんですよ。それで殆どの農家は農家でないんだよね。つまり、農家という形態であるけれども、農業生産をチョボチョボやっている位で社会的に意味のある農業生産しているわけじゃないんだよね、殆どが。本当にその日本の食糧を何とかしようという努力をしているのは、専業農家というほんの一部の農家だけなんだよね。普通の社会では、アマチュアはその世界のプロを尊敬するのは当たり前なんだよね。高校野球の選手はプロの佐々木だとか何とかを尊敬する訳です。農村でもアマチュアの農家はプロの農家を尊敬するのが当たり前なんだけど、そうじゃなくなっている訳ですね。

 そうじゃなくなっている理由はその農政で社会政策的な農政をやられてきたから、底上げ農政っていってね。その結果どうなったかというと、例えば稲作なんかは足腰が弱くなって、僕は糖尿病かなって言っているんだけど。安楽死か外科手術かどっちかしかならないですよね。そういう農政になっちゃったから、つまりベースがそういうところだから、プロの経営者がそこから出てくるには、非常に大きなエネルギーが必要なんですよ。

小野寺:農業経営者から加工産業などに入っていくのは自由ですよね。でそういう産業に入っていく人達はものすごいビジネスチャンスを生かしながら、農業経営者でありながら加工分野の方にチャレンジしていく訳ですよね。ものすごいエネルギーを使って。北海道にも今そういう農業者が沢山います。しかし、一次加工、二次加工、自分のところですれば全部先にはばら色の世界があるみたいなことがいわれるもんだから、結構ソフトクリーム屋さんが沢山あふれてもうオーバーブロー状態なんですよね。

照沼:私は今の国の政策は、先日見た「タイタニック」(映画)のワンシーンのようだと思ってます。あの溺れているシーンです。

 あのシーンのボートは国。手をさしのべているのが国なんですよ。でも国は途中まで引っ張ってくれるんですが、そこから先は自分で上がれっていうわけ。これね、自分で上がるのはよっぽど体力がないと無理なんですよ。それと農業経営者だったら、岸が見えているんだったらたぶん自分で泳いでいくと思うんですよ。でも見てると、みんなボートに捕まってればそのうち助かるんんじゃないか、何か補助金が出るんじゃないかって考えてしまってるんです。でも、そのうち体力がなくなって結局溺れてしまう。そういう考え方を改めないといけない。村の歩調に合わせることが大切ならばそれはそれでいいと思う。ただあくまでも自分の経営、自分の所得を上げていくためにっていうんであれば、岸に向って泳ぐべきですよ。でもこれは誰かが泳いでいかないと後にはつかないんじゃないかと思ったんで、自分がその役をかってでようと思ったんです。でも編集長がよくおっしゃるように、皆入り口の部分でグダグダグダグダしてるんですよ。どっちに行ったらいいかわかんない。結局自分が突出してしまったんですよね。

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