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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

千葉県・瀧島秀樹さんの場合

土を作るということは、その土の長所・短所を理解し、その長所を如何に伸ばし、短所を如何に克服するか、あるいは補うかを考え、設計していくことである。本誌26号「経営者ルポ」でも紹介され、赤土の多いやせた関東ローム層で良質のニンジンを生産している千葉県大栄町・瀧島秀樹さんの場合
 有機肥料の施用によって生じる問題点の一つに、土壌中・作物中に多量の硝酸態窒素が蓄積することが挙げられる。瀧島さんは、緑肥の土中への鋤込みと、鎮圧によってそれを防いでいる。

関 この辺りの土はとても軽いですよね。

瀧島 そうです。うちはプラウをかけているのでそれ程でもないですが、周りでサツマイモばかり作り、ロータリだけをかけている人のところは、腐植土がほとんどないですから、軽いですね。一日風が吹くと、風下の道路では吹き飛ばされた土がたくさん溜る程です。

 昔は、間に麦を作ったり、落花生を作ったりしたのですが、今はそれをやりませんから、余計に飛びますよね。本当は緑肥を撒いた方がよいのですが。

関 堆肥から緑肥へ切り替えられたのは?

瀧島 昭和58年まで堆肥を投入していました。堆肥は籾殻と鶏糞をサンドイッチにして。ちょうどプラウが出始めた頃、緑肥へと切り替えたのです。

 黒土が薄く、後は赤土ばかりで、うちの畑も最初はひどかった。プラウ耕をやったら畑が真っ赤になりました。「あんなひっくり返して大丈夫か?」と言われたりしましたが、別に何ともなかった。3年程で変わってきました。

関 3年我慢すると変わってくる。

瀧島 緑肥を鋤込むようになって特に変わったと思ったのは、堆肥を入れているだけでは、トラクタで圃場に入った場合、土が固まってなかなかほぐれないのです。それが緑肥を使うと、皆簡単にほぐれるようになる。土直しには最高です。

関 瀧島さんのお話しを伺っていて、堆肥の時代があり、それにより土そのものがいろいろな意味で熟成した。そして緑肥にすることによって、外から入れる窒素分はないわけですから、適正値が維持されているのではないかと思うのです。

 有機野菜に硝酸態窒素が多いのは、堆肥を入れていくと硝酸化成といって、硝酸態窒素になるスピードの速い条件が作られるのです。ですので極端に堆肥を入れて、強引に有機栽培と称しているほど土の中と野菜に硝酸がたまりやすいのです。

 それに瀧島さんは鎮圧をされていますね。実は、土の乾きと湿りの繰り返しがきついと硝酸化成が強く出るのです。しかし、鎮圧をすることによって乾きと湿りのブレが小さくなるので、硝酸化成の発生がより抑えられることになる。

 また、ある程度肥料を入れないと気持ち悪いというのは農業をやっている人の心理ではあると思いますが、実際はポイントが違っていて、土に力点を置くと、少ない量の方がうまくいくものなんです。少ない量でどう作るかというのが、ほんとうの技術だと思うのです。

 何かを放り込むと何かができる。これが入門コース。もっと採りたいと思ってもっと放り込む。これを繰り返していると、そのうち土がおかしくなってきて、頭を抱えることになる。しかし、その辺りでだいたい人は止まってしまっています。岐阜県のニンジンの産地でも、窒素を含めいろいろな成分が過剰な状態になってしまっています。

 野菜の場合、ある程度肥料をやらないと、例えば、欠玉することがあります。しかし、放り込む肥料の量だけでなく、違う何かにもっと着目すべきであると思うのです。

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