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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

三重県・伊藤哲男さんの場合

ヨーロッパと異なり日本の褐色森林土は、一般に保肥力が弱く、酸性を帯び、塩基分が少ないので農業生産力が低いとされる。しかし、国内で稀に見られる非火山灰性黒ボク土は、優秀な鉱物、モンモリロナイトを含み高い生産性を示す。その非火山灰性黒ボクが広がる和歌山県鈴鹿市で、緑化樹の栽培をされる伊藤哲男さんの場合
 単に排水性だけでなく、微生物相に片寄りを生じさせないことが、植物の老廃物に対処するときのキーとなる。野菜と較べ、深部へと根のはる緑化木の場合、心土層の改良がより必要となる。

関 拝見すると、とても印象的な黒ボクですね。しかし、火山灰性の黒ボクではありません。火山灰性のものとは色が違いますね。それに、ここの土には海か川から運ばれた重い礫が混じっています。火山の礫だともっと軽いはずなのです。

 非火山灰性の黒ボクは、日本の中でも非常に貴重なもので、スポット的に存在するところはあるのですが、これだけ広範囲かつ厚くあるのは本当に珍しいです。

 何が違うのかと言うと、この土はモンモリロナイトという肥料の保持力が普通の5倍近くもある粘土鉱物が含まれているのです。

伊藤 保肥力が高いということは、緩衝能が高いということですね。

関 その通りです。三重県のお茶の栽培では窒素分を150kgも入れるそうです。通常であれば問題が出るはずなのですが、その保肥力が問題を生じさせなくしているのかも知れません。

伊藤 この辺は厚いところで50~60cm薄いところで20cm位黒ボクがありますが、連作の問題はあります。うちではヘイオーツや菜種を前作としてやり、プラウとかサブソイラを入れて連作が可能になりましたね。

関 やはり作物は、野菜の場合もそうですが、深い部分の改良をしないと、表土の本当の機能が出てこないですね。

 排水性や微生物相のことを考えると、心土を改良することによって表土が改良されるわけです。ですので、黒ボクの下を見る必要があるでしょう。

 野菜で心土層の改良が必要なのですから、緑化木の場合、あれだけの体を支えるわけですから、更に必要となると思うのです。

 それから、心土層の改良に関連して、最近植物の出す老廃物が問題となっています。

 老廃物を出すのは、動物だけではなく、植物も出すのです。動物は移動しますが、植物はその場所から動けないわけです。ですので、心土を改良するということは、単に排水性をよくしたり酸素を供給したりするだけでなく、老廃物を流すという機能もあるのです。

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