ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

三重県・伊藤哲男さんの場合

 この点から考えても、この地域の広い豊かな表層黒ボク層は、この緑化木の古い産地として成立し続けたことが理解できます。

 しかし、性質の優れた土壌といっても、酷使し続けることは生産力の低下につながります。緑化木の連続生産では、自然界で自生しているような個体間隔とは程遠く、超密植の栽培となります。

 このことは、個体相互の競合を生じさせるため、さし木の生長には逆に効果があり、よく揃った個体ができ上がることになります。

 しかし、土壌への負荷は大きくかかります。まず、同一種類の植物を何年にもわたって、くり返し栽培することによる微生物相の片寄りがあげられます。

 同一種の連続生産は、下降線をたどっていくのです。

 この対策に堆肥施用を実施しているとのことですが、もう一つ、地下排水に気を配ることの大切さを提案してみました。

 有機物施用も、堆肥生産をして実施しているとのことですが、畑地でも心土部分の地下排水を円滑にしてやることが、特に根域を大きく必要とする緑化木類では効果の大きいことであるはずです。

 これは、植物が密植された際の弊害です。分泌排泄物を浄化してやるということにも関係することですし、もう一つ微生物相を単純化してしまわないことにもなります。

 また伊藤さんは、近くの砕石工場から発生する脱水ケーキ、(このケーキとは泥水を処理したシルト分の多い土)を客土しているということですが、岩のくずというのはミネラル分に富んだ、大変に栄養的にすぐれたもので、砕石工程で発生する貴重な資源です。

 この種のものは水道の浄水過程からも発生しますが、採石場から発生するものの方が、無機栄養源としてはずっと優秀です。

 さて、伊藤さん達の将来の課題として、庭木類のボックス栽培があると聞きました。

 これはたぶん、早期生育や品質向上、管理の一元化、など計画性のある生産を目指してということが目的と思います。現在、果樹園芸で、このボックス栽培の研究がスタートしていますが、課題は山積みです。

 植え付けて初年度くらいは生育も順調のようですが、3年目くらいから根の発育が悪化して、地上部の生育が思うように進まないようです。

 これには当然、培養土の種類や配合の仕方、水の与え方など研究すべき点は多いと思いますが、緑化木類の方が野生種に近い植物と考えられるだけに果樹類より、人工管理は難しいかもしれません。


伊藤哲男さん

(有)伊藤グリーン
三重県鈴鹿市追分町2257番地
TEL0593-71-0598

関連記事

powered by weblio