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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

沖縄県北大東島・上地勝也さんの場合

本号の「農業経営者ルポ」でも紹介した通り、今回は、有機物循環農法研究会・九州支部の研修旅行として北大東島を訪れた。上地さんだけでなく、北大東島の人々と循環農研との共同勉強会になった。
関:北大東島ではどんな作物が作られているのでしょうか。

上地:サトウキビが基幹の作物ですが、最近では、早出しのバレイショの面積が広がってきました。

 ただ、早出しバレイショに関しては、『農業経営者』や北海道の展示会を見ると、また収量の点から考えても、まだ検討課題が山積しているように思います。

関:北大東島は、島尻マージと呼ばれる、石灰が多く、pHが高い土壌で、高温、多雨のため有機物の分解が激しい土壌でもあります。

 これは、サトウキビには適していますが、ジャガイモ栽培には必ずしも適しているとは言えません。ですので、そうか病などの病害や連作障害の危険がないとは言えないのではないでしょうか。もちろん、早出しのできるこの気象条件は利点とは言えますが。

 サトウキビの残渣を戻されているとのことですが、この有機物の分解速度が激しい土壌では、それだけでは足らないのではないでしょうか。サトウキビであれ、バレイショであれ、本来この地では、収奪型の農業になり兼ねないということは肝に銘ずるべきでしょう。

 ところで、北大東島には畜産はないのですか。

上地:かつては自分も一部やっており、村にも畜産があったのですが、今はゼロです。

関:それは非常に問題ですねえ。有機物の投入が、この地の土地改良に非常に効果があるという点からも、畜産の意味は大きいのです。基盤整備にこれだけ大きな金額を投入しているのであれば、むしろ、北大東島に畜産を起すためにお金をかけてもよいのではないでしょうか。

 土壌の改良とは、単に一つの作物のためではなく、地域の物質循環の中で考えられていくことが、本来の姿なのではないでしょうか。

 北大東島には、点滴灌漑がかなり入ってきていると聞いていますが、その効果はどうですか。

上地:農業用水の配管がまだ、全ての圃場に行っているという訳ではないのですが、その条件が整い、点滴灌漑を導入した所では、サトウキビの収量が飛躍的に上がりました。これまで反収4~5tであった圃場が、点滴の導入によって、一気に12tまで上がったケースもあります。

 実は、私の圃場にはまだ配管が入っていません。これまでは、平均反収がこの村で一番と自負していたのですが、ほんと、くやしいところです(笑)。


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