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【今年の市場相場を読む】
輸入量が昨年急増した生鮮野菜をチェック ミニトマト・ネギ・ハクサイ・ニンジン
- (株)農経企画情報センター 代表取締役 小林 彰一
- 第35回 1999年04月01日
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ミニトマト 韓国からの輸入が急増 対応策は国産の価格意識
【概況】
昨年のミニトマトを含むトマト類の輸入は前年の4.2倍、4100tであった。東京市場においては、前年が年間を通じてたったの1t程度だったのが、昨年は134tの輸入品が入荷している。ほとんどが韓国産だ。実数で134t、シェアにして1.4%ほどのものであり、大した影響はないだろう、と見がち。しかし、昨年は、年間を通じて入荷量が減少し、それに伴って、単価も過去5年の中では高めに推移していた。年間を通じてkg640円という平均単価は、5年前から比べると11%高いし、数量が多く単価を下げた平成8年から比べると3割以上も高い。産地にとっては喜ばしい傾向ながら、この状況を見て参入してきたのが輸入品だ。
【背景】
トマト類はバブル経済崩壊以降も着実に消費が増えてしかも単価も支持されてきた数少ない品目のひとつだ。が、それでも値ごろというものは存在し、単価高に傾けば、躊躇なく輸入品が参入してくることを如実に物語るのが、このミニトマトの推移である。ミニトマトは、昨年秋以降の不作現象の対象品目ではなかったが、連動するように入荷は減り単価が上がった。そこに韓国産が流入したのだ。ほとんど品質は変わらない。意外に知られていないが、韓国では日本の品種が生産されており、しかも過去10数年の栽培の歴史がある。とりわけソウルオリンピックの前後から、生産は急増し国内の消費も定着している。キュウリ、トマト、パプリカに次いで、ミニトマトは、日本の相場いかんによっては、いつでも輸出できる体制が整っているのである。
【今年の対応】
ミニトマトの国内需要は、そろそろ頭打ちである。しかし、ここ数年トマト全体の消費が好調だったこともあって、生産面では増大ぎみ。しかも、水田からの面積調整で気軽に導入できる品目でもあることが、生産現場でのミニトマトブームの発端にもなっている。需要が頭打ち状態になっても生産が増えつづければ、相場は軟調になる。簡単に生産導入したところは、やめる時も簡単。が、減ったら減ったなりに価格は持ち直し、時には高騰する。国内生産にそうした不安定さがある以上、韓国からの輸入はタイミング良く入ってくるのだ。「食味」「安心」「安定性」の3つのファクターが、輸入への対抗手段だ。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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