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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

静岡県清水市・杉山隆良さんの場合

 今回の事例も、東京と名古屋を結ぶ第二東名高速道建設により、かなりの農地が建設用地として潰れるのですが、その代替地の造成として、と同時に、このハイウェイは多くのトンネルを掘るのでその掘り取った土砂の処分地として、近くの谷を埋め、その結果造成される平坦地を畑地として利用するというものです。

 では、農業生産面から、あるいは土壌的な面からこの現場を見ていきますと、まず第一に、この工事現場内の表層土を仕分けして、分離し、これをある一定の場所に仮置しておき、畑の基盤の上にその表層土を畑耕作土として利用する方法、つまり表土扱い工法がとられていました。

 この工法は水田基盤整備でよく知られているものです。水田の場合は全く問題はないのですが、畑の場合、従来の畑や丘陵地の表層土を掘削して、運び込むという土木作業の結果、この耕土では土壌として大事な土壌構造が完全に破壊されてしまいます。

 特に、粘土分を多く含み、礫や砂を全く含まないような表層土ではその傾向が強く出ます。また、この作業を土が水分を多く含んでいる状態のときに強引に行った場合も、その土壌は構造を失い、排水、通気、いずれも機能低下に陥ってしまいます。

 しかしこの清水市梅島地区の現場の土壌は、この種の心配のあまりいらない土壌であると判断しました。

 それは、砂岩が元々の素材であり、しかも風化途中のもので、たいへんサラサラした感触であったこと、排水も、暗渠対策はしていないということでしたが、かなり良好のようであったことがその理由です。

 耕作土に関しての第二の問題点として、作土の確保が補助事業では60cmに規定されていて、この厚さの範囲でしか、作物は根を張ることができないということがあります。

 農水省の畑地造成における耕土の規定はどこでも60cmのようですが、一年生作物であれば、これでも排水さえうまくいっていればよいのですが、今回の取材先のように茶樹や果樹のような永年作物では不充分な耕土厚だと思います。

 このように悪い土壌条件に直面した場合、それを改良するか、それとも、その欠点はそのままにして、これとうまく付き合うことのできる方法を採るか、いずれかが基本です。

 杉山さんは、この土壌構造の破壊されている現場に点滴チューブを導入して、永年作物であるので深いところまで根域をとるのが通例ですが、これを表面の上根で確保するという手段を選びました。

 点滴チューブというのは、乾燥地で考案されたものですが、実は、畑の過湿害を受けやすいところでも、大変に役立つものなのです。

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