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【江刺の稲】
嫌なら辞めろ!
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第41回 1999年07月01日
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人が自分の仕事や人生についての「泣き言」や「ぼやき」を語るようになったら、それは自分自身の心の持ち方を見つめ直すべき注意信号である。今の仕事が重荷であるのなら、自分の力を冷静に見つめ、見栄を張らずに担える荷物の重さを調整することも必要なことだ。
きっと誰にもそんなことはあるはずだ。正直に言えば、僕もなんでこんな仕事を続けているのだろうと思うことがある。そんな時、僕は
「嫌なら辞めろ!」
と自分に向かって言ってみることにしている。励ましの言葉として。
痩せ我慢が必要な時もある。辞めるに辞められない事情や頼み込まれて後にひけぬということも。共感や同情に振り回されることもある。しかし、「嫌だ」と思いながら続けるのは間違いだ。嫌なら辞めるべきなのである。そうでなければ、続けていく理由を自分自身に向かって問い直してみる必要があるのだ。
もっとも、「家を継がねばならなかった」などとやむを得ず仕事をしている人も、実は、やむを得ずその仕事をすることを自ら選んでいるのである。むしろ、彼は辞めないことを自ら選びながら、その苦痛や葛藤を自分以外の何かの責任にして「被害者意識」という精神の安楽椅子で人生の時を無駄にやり過ごしているのだ。
そんな彼には、自分の心の居場所をもう一段上のステージに置こうとしない限り望むべき場所や仕事は与えられないのだ。そして、嫌だと思っている今の仕事に彼が本当に求めている物があるのかもしれないのだ。
肩書きや機能としての経営者ばかりでなく、誇りある職業人なら誰でも、当然のごとく家族、社員、顧客などに対する責任を持っている。そんなことは当たり前なのだ。そして口には出さずとも、社会や歴史そして未来に対して何らかの役割を果たしたいという思いがあるはずだ。
きっと誰にもそんなことはあるはずだ。正直に言えば、僕もなんでこんな仕事を続けているのだろうと思うことがある。そんな時、僕は
「嫌なら辞めろ!」
と自分に向かって言ってみることにしている。励ましの言葉として。
痩せ我慢が必要な時もある。辞めるに辞められない事情や頼み込まれて後にひけぬということも。共感や同情に振り回されることもある。しかし、「嫌だ」と思いながら続けるのは間違いだ。嫌なら辞めるべきなのである。そうでなければ、続けていく理由を自分自身に向かって問い直してみる必要があるのだ。
もっとも、「家を継がねばならなかった」などとやむを得ず仕事をしている人も、実は、やむを得ずその仕事をすることを自ら選んでいるのである。むしろ、彼は辞めないことを自ら選びながら、その苦痛や葛藤を自分以外の何かの責任にして「被害者意識」という精神の安楽椅子で人生の時を無駄にやり過ごしているのだ。
そんな彼には、自分の心の居場所をもう一段上のステージに置こうとしない限り望むべき場所や仕事は与えられないのだ。そして、嫌だと思っている今の仕事に彼が本当に求めている物があるのかもしれないのだ。
肩書きや機能としての経営者ばかりでなく、誇りある職業人なら誰でも、当然のごとく家族、社員、顧客などに対する責任を持っている。そんなことは当たり前なのだ。そして口には出さずとも、社会や歴史そして未来に対して何らかの役割を果たしたいという思いがあるはずだ。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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