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土壌別経営診断うちの土ではどう作る?

岩手県岩手郡・庄司有弘さんの場合

 今回は、有機物施用についてもう一歩進めて、土壌中での有機物の熟成の効果とその必要性について現場で検討してみることにしました。

 このテーマは、最初に述べた野菜類を中心とした、連作、土壌消毒、高品質作物の連続生産などの畑作にとっての極限の問題と言えるものです。この解決ができないために、産地の移動、経営の不安定化、消費者からの信用喪失など多くの課題が発生しています。

 つまり、これが解決できれば、全てがうまく回転していくわけです。

 この問題をうまく解決して、経営的にも安定的に取り組んでいる岩手県の庄司さんを訪ねました。

 まず、お話を伺って感じたことは、庄司さんは全体を大きくとらえて、目先の小さな得には手を出さないということです。とにかく、4ha余りの圃場の2/3は収入の対象から外してしまい、土の機能を精一杯高めるために、作物生産に充当しないで、休閑させる。休閑させるだけでなく、有機物を施用する。それも上質の堆肥を入れ、そして緑肥を入れる。

 入れた堆肥は、その年の作付けに対して、よい方向に働くばかりとは言えず、デリケートな作物では障害を生むこともあるということでした。

 つまり、有機物を発酵させて、かなり念入りに堆肥にしても、それが土壌中に入った段階では、まだ作物に不都合な成分濃度であったり、障害となる成分を含んでいたりするのです。

 これは、堆肥作りや堆肥そのものの宿命でもあると考えるべきでしょう。

 ですので、堆肥の製造過程そのものは、通常の方法でもよいと思います。その施用後に、土壌と堆肥と時間をかけて、また、庄司さんのようにこの期間に緑肥を導入して、有機物と土壌がよりうまく馴染むように、無理なく土壌を休ませ、次の作付けに向けて土をよりよいものにしていくことが大切なのだと思います。

 堆肥を作りその施用を始めて、「さあこれからだ」と考えていたのが、その生育の悪さに失望してしまったという話しをよく聞きますが、これは、堆肥施用の当年は、そのデメリット、具体的には濃度障害や有害物質の存在があるためです。

 それまで余り有機を入れていなかった畑において、物理性や微生物性を改善しようとして堆肥を入れようとすると、その量は5t以上を入れたくなります。すると肥料としての過剰な成分に対して、作物によってはそれに敏感に反応し影響が出てしまうわけです。

 この場面で、施用する堆肥の量を減らすことで対応するのではなく、その後に緑肥を作り、その緑肥に問題を解決させるという方法です。

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