ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

おいしい野菜をおいしく届ける技術と心意気

我が国の農産物の分野では、圃場生産の段階から一貫した品質管理体制ができあがっているとは言えず、品質管理の思想そのものが定着しているとは言い難い状況にある。
我が国の農産物の分野では、圃場生産の段階から一貫した品質管理体制ができあがっているとは言えず、品質管理の思想そのものが定着しているとは言い難い状況にある。これを技術的な問題を含めどう構築していくのか。大きな物流において何が必要とされ、小さな物流においてはコールド・チェーン等どう形成することができるのか。また生産サイドにおいては、品質管理とは経営の問題であると共にマーケティングの問題としてどう捉えていくべきか。農業経営者はどういった形で物流販売サイドと情報を共有し、連携しながら農産物品質管理の一翼をになうことになるのか。今回は、(株)セイツー代表取締役・奥村晃氏、聖徳大学講師・大久保増太郎氏をお迎えし、それら本質的問題についてお話して頂いた。また、第2部では鮮度管理のためのお役立ち商品を紹介する。


座談会
農業経営から考えた農産物の品質管理


【出席者】
奥村 晃さん(株式会社セイツー 代表取締役)
大久保 増太郎さん(農学博士 聖徳大学講師農産物流通技術研究会長)
昆吉則(「農業経営者」編集長)


昆:今日は農産物での品質管理とそれに関わる様々な問題点を中心にお話をしていただければと思います。

 まず、お二人が品質管理についてどのようなイメージをお持ちになっておられるのかお聞かせ下さい。

 奥村社長は産地に実際に入り、土にこだわられ、その方々の経営観について考えながら取り組んでおられますが、生産者の方々に向かってのお考えをお聞かせ下さい。

奥村:昆社長が日頃仰る通り、農家の方々の中に経営者と言える人は数えるほどしかいないのが現状だと思います。本来であれば、農地を保有しているから農業をしなければならないと言うものではないはずで、農地を保有していなくとも鍬を持つという人が増えてくることが当然のことであると思うのです。今、企業が農業の分野に次々と参入しつつありますが、それは農業にとってよい起爆剤になっていくものと思います。勝ったとか負けたということではなく、農業を真剣に考えるという意味において、農家以外の人が農業分野に参入することは大変大事だと思うのです。それが、今の日本の農家に経営観を位置づけて頂くいいチャンスであると私は常々思っています。私どもの所もいずれは直営農場を地元で復活させたいと考えています。

 また、品質管理の点では、収穫後、食卓に並ぶまであるいは調理されるまでの管理が非常に杜撰であると感じています。野菜の流通というのは、産地も大型化し市場も大型化する方向に行政が進んできたわけですから仕方ない部分があるかとは思うのですが、これからの野菜の品質管理は魚や肉と同様の扱いにしないといけない。そういう意識が個々の生産者に根付いていく必要があるでしょう。それは、欧米に比べて一人当たりの耕地面積が非常に小さいということがその一因としてあるのかも知れません。もっと大きな面積で経営を行うことになれば、鮮度管理を度外視した農産物流通はあり得ないということが認識されていくのではないでしょうか。

 私共の品質評価基準でですが、5日間連続して同じ野菜の品質を測っていきますと驚くほど速く品質が落ちていくのが分かるのです。そういう意味で「生鮮」ということは、魚や肉より野菜の方が大事なことなのかも知れません。

関連記事

powered by weblio