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【土壌別経営診断うちの土ではどう作る?】
長野県東筑摩郡明科町・池上洋助さんの場合
- 農業コンサルタント 関祐二
- 第32回 1999年08月01日
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関 今回は異例で、圃場を見せて頂くのではなく、池上さんが行われている土壌分析診断システムの紹介をしていきたいと思います。
池上 私共の場合は、基本的には年間契約で行っています。サンプリングした土が手元に来てから、遅くとも1週間以内には結果がでます。ファックスがある人ならその日のうちに結果がわかります。そうすると土壌診断をしてから、10日くらい前の畑の状況が分かるわけですから、例えば追肥主体で作物を作っている人たちにとっては、十分、土壌診断の結果を施肥改善のために使えることになるわけです。もしその土壌診断の結果に問題があった場合、その対策も出します。例えば酸性が強い場合、この畑をトラクタで15cm起こすのであれば、一反部15cm直すのにこの資材を何t入れて下さいと、そこまで説明した上で、確認調査を行いなます。
土壌診断はただやっても何の意味もないもので、その結果を使って研修会をおこなって、追跡を行っていく。その繰り返しですね。
また、化学肥料は絶対だめということでなく、有機質の成分は最大限に使う。施肥設計に堆肥・緑肥を入れ、当然、その成分分析もします。堆肥を何t入れると、この成分はこれだけ入ると計算できる。それで例えば、堆肥の分も加味して有効態リン酸やカリが多いということになれば、元肥はゼロ。不足の成分は単肥で補う。複合肥料を使う限り施肥管理はできませんから。堆肥・緑肥・土壌診断の結果を複合的に利用していくことが大事です。その栽培方法にあった肥培管理を行っていく、それが環境保全型農業の根本だなと考えています。
関 今、仰ったことが分かってくれる人は、ご自分でも施肥管理ができる。原理的な話しだけして、では何々が多いからと言ってもそれで、それを減らした施肥ができるかというと。
池上 なかなかそうはいきませんね。極端な話、まがいものでも「これを入れたら直りますよ」と言うと農家は入れますよね。入れることに対する抵抗感はほとんどない。だけど、「この畑はリン酸がとても多いから」、あるいは、「硝酸態がすごく残っているから、元肥ゼロでも十分作物は育ちますよ。だから入れないで下さい」と言っても、入れないことに対する不安感の方が非常に大きいのですよ。入れることに慣れすぎてしまっていて、すぐに入れて直そうとする。その辺の所は、農家の意識改革が一番必要なところです。そのために、うちでは、土壌診断そのものよりも、定期的な講演会、研修会に力を入れているのです。具体的に、あなたの畑のCECが20と書いてあるがそれはどういうことなのか。Aさんの畑が20でBさんの畑が10。これがどういうことで、10と20でどういうふうに違ってくるのか、それを診断表を元に説明するわけです。1年くらいそれをやって頂くと、だいたい診断表が読めるようになります。今うちがつき合っている生産者の方たちで最も長い方は15年くらいのおつき合いですが、その方たちは土壌分析表を見ただけで全体が分かるくらいです。そうすると、ビニールハウスを建てるとか、トラクタを買うのと同じ感覚で土壌診断を設備投資として使いこなせるので、やればやるだけ自分の土が分かって、積極的に土作りに取り組めるようになるのです。そこまでになるには、2、3年はかかりますね。土壌診断だけであればどこでもやっているのです。あとはいかに使いこなすかですよね。
池上 私共の場合は、基本的には年間契約で行っています。サンプリングした土が手元に来てから、遅くとも1週間以内には結果がでます。ファックスがある人ならその日のうちに結果がわかります。そうすると土壌診断をしてから、10日くらい前の畑の状況が分かるわけですから、例えば追肥主体で作物を作っている人たちにとっては、十分、土壌診断の結果を施肥改善のために使えることになるわけです。もしその土壌診断の結果に問題があった場合、その対策も出します。例えば酸性が強い場合、この畑をトラクタで15cm起こすのであれば、一反部15cm直すのにこの資材を何t入れて下さいと、そこまで説明した上で、確認調査を行いなます。
土壌診断はただやっても何の意味もないもので、その結果を使って研修会をおこなって、追跡を行っていく。その繰り返しですね。
また、化学肥料は絶対だめということでなく、有機質の成分は最大限に使う。施肥設計に堆肥・緑肥を入れ、当然、その成分分析もします。堆肥を何t入れると、この成分はこれだけ入ると計算できる。それで例えば、堆肥の分も加味して有効態リン酸やカリが多いということになれば、元肥はゼロ。不足の成分は単肥で補う。複合肥料を使う限り施肥管理はできませんから。堆肥・緑肥・土壌診断の結果を複合的に利用していくことが大事です。その栽培方法にあった肥培管理を行っていく、それが環境保全型農業の根本だなと考えています。
関 今、仰ったことが分かってくれる人は、ご自分でも施肥管理ができる。原理的な話しだけして、では何々が多いからと言ってもそれで、それを減らした施肥ができるかというと。
池上 なかなかそうはいきませんね。極端な話、まがいものでも「これを入れたら直りますよ」と言うと農家は入れますよね。入れることに対する抵抗感はほとんどない。だけど、「この畑はリン酸がとても多いから」、あるいは、「硝酸態がすごく残っているから、元肥ゼロでも十分作物は育ちますよ。だから入れないで下さい」と言っても、入れないことに対する不安感の方が非常に大きいのですよ。入れることに慣れすぎてしまっていて、すぐに入れて直そうとする。その辺の所は、農家の意識改革が一番必要なところです。そのために、うちでは、土壌診断そのものよりも、定期的な講演会、研修会に力を入れているのです。具体的に、あなたの畑のCECが20と書いてあるがそれはどういうことなのか。Aさんの畑が20でBさんの畑が10。これがどういうことで、10と20でどういうふうに違ってくるのか、それを診断表を元に説明するわけです。1年くらいそれをやって頂くと、だいたい診断表が読めるようになります。今うちがつき合っている生産者の方たちで最も長い方は15年くらいのおつき合いですが、その方たちは土壌分析表を見ただけで全体が分かるくらいです。そうすると、ビニールハウスを建てるとか、トラクタを買うのと同じ感覚で土壌診断を設備投資として使いこなせるので、やればやるだけ自分の土が分かって、積極的に土作りに取り組めるようになるのです。そこまでになるには、2、3年はかかりますね。土壌診断だけであればどこでもやっているのです。あとはいかに使いこなすかですよね。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
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