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女だからの経営論

山菜を売るなんて考えてもいなかった

千葉ちゑ子さん(64歳)が暮らす宮城県花山村は、仙台から車で北へ約2時間。秋田県と境を接する山村である。「ちょうど、そばの花が実をつけたところなのよ」「ぜひ畑を見せてください」と、お願いすると、ちゑ子さんは軽トラックで細い畦道へずんずん乗り入れていった。ほんの50メートルほどの距離なのだが、道は傾斜がきついのがわかる。畑といってもここは山なんだなあ。たどり着いた先は一面のそば畑。元々水田だった場所だが、減反の転換作物としてそばを植えているのだそうだ。
 千葉ちゑ子さん(64歳)が暮らす宮城県花山村は、仙台から車で北へ約2時間。秋田県と境を接する山村である。

「ちょうど、そばの花が実をつけたところなのよ」

「ぜひ畑を見せてください」

 と、お願いすると、ちゑ子さんは軽トラックで細い畦道へずんずん乗り入れていった。ほんの50メートルほどの距離なのだが、道は傾斜がきついのがわかる。畑といってもここは山なんだなあ。

 たどり着いた先は一面のそば畑。元々水田だった場所だが、減反の転換作物としてそばを植えているのだそうだ。

「うわあ」 と私が見とれている間、

「今、車回してくっからねえ」

 とあっという間に方向転換した軽トラの座席で、ちゑ子さんはニッコリ。

「運転お上手ですね。いつ免許取ったんですか?」

「あのね、昔はバイクの免許しか持ってなかったんだけど、40歳の時に主人が急に亡くなってしまって。それから急いで取ったんですよ」

「ええっ! それは大変でしたねえ」

 ちゑ子さんは、それ以来ずっと一家の経営を支えてきた。さらにここ10年ほどは、村の山菜加工組合の組合長として、漬物やジャムの製造、販売に取り組み、全国に花山の産物を送り続ける、花山の「顔」ともいえる人物なのである。


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