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弱みを強みに変える新技術が満載
農機が入りにくい、資材や収穫物の運搬効率が悪いなど、何かと生産条件の悪さが取りざたされる中山間地の農業。とはいえ日本の農業において、中山間地は耕地面積で40%、産出額で37%を占める重要な地域でもある。本書はそんな中山間地における農業経営の安定化のため、徳島県での実証試験をもとに開発された施設栽培技術を紹介している。
いかにも研究者の執筆らしいお堅い文面だが、あの手この手で課題を克服する取り組みからは、職人気質の熱意が伝わってきて頼もしい。傾斜ハウスの建設、夏場の暑熱対策など、基本的には果菜生産を前提に技術を体系化した構成となっているが、なかには汎用性の高い個別技術も登場する。レール走行とクローラ走行の能力を兼ね備え、農道から圃場へ直接乗り入れることのできる「モノレール対応型運搬車」などは、様々なシーンで応用できるだろう。「できない理由」ばかり指摘される中山間地だが、視点を変えれば南斜面の豊富な日照、山肌に沿う斜面風などの利点も少なくない。弱みを逆手に取る発想が、新技術開発の母になっている。(土井学)
傾斜地特有の資源を活用した低コスト施設栽培―四国傾斜地農業の経営改善に向けた総合研究
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伊吹 俊彦 家常 高
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