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自由貿易の推進は是か非か
エマニュエル・トッドは間違いなく現代最高の知性を持つひとりだ。人口統計学や家族構造分析から、世界の経済や政治情勢、産業構造などを読み解く手法はきわめて斬新で、しかも驚くほど現実を予見している。先のエジプト革命も、トッドが述べていたことをなぞるように起きたといってよい。
世界的な経済危機の原因は自由貿易であるとし、保護主義に可能性を見るトッドの立場は、ある意味では本誌の主張の真逆を行くように見える。それでもあえて本書を紹介したのは、保護主義にまつわるネガティブなイメージが誤解に基づいていることをトッドの分析が見事に明らかにしているからだ。
ソ連崩壊をその10年以上前に予言し、金融に依存する米国経済の衰退を誰にも思いつかないやり方で指摘していたトッドの考えを理解することは、現在という時代を知る上できっと参考になる。彼の著作は歯ごたえがあり新書のようにスイスイとは読めないが、新書を10冊読むより確実に役立つ。インタビューを元にしてまとめられた本書は、比較的読みやすく入門編としても最適。(田中真知)
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