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永遠のいたちごっこから脱却する日はくるか
700万年という人類の軌跡に対し、昆虫は4億年もの進化の歴史を経て現在に至っている。それだけに昆虫の能力は合理性に富み、彼らの習性には生き延びるための知恵が溢れている。そんな昆虫に学び、共に新たな未来を築こうというのが本書である。
人類は農耕を始めて以来、常に昆虫との闘いを続けてきた。ここ半世紀は優れた農薬や遺伝子組み換え作物などの登場により、昆虫の農業被害を封じる動きが進んでいる。著書はその技術革新の素晴らしさを認める一方で、昆虫のたくましい適応能力の前ではいたちごっこが繰り返されるだけであり、永遠に決着はつかないだろうと、多く事例を元に示す。
そこで注目されるのが、従来のIPMではなく「総合的生物多様性管理」のIBMという概念である。経済的被害の許容範囲であれば、害虫を根絶することなく保全し、生態系の相互作用を保つことで、害虫の発生をコントロールするものだという。人間社会のあらゆる事象にも通じそうなこの発想、防除技術だけでなく、経営のあり方や自らの生き方まで見つめ直すヒントになるかもしれない。
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