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世界では証拠より論が優先する
言語学者の鈴木孝夫氏は10年単位で説得力を持ち続ける言説を唱えられる数少ない論者だ。5年前に書かれたこの本は、中国からもロシアからも米国からもナメられて右往左往している日本の今を、見事に予見している。そうした現況が日本文化のどのような構造に由来しているのかが、本書を読むとよくわかる。
たとえば、「日本人離れした」という言い方がある。「あなたは日本人離れしている」というと、言われた方は悪い気はしないのが普通だ。だが、こうした言い回し持っている民族は、世界で日本人以外にいない。そこには無意識に日本人であることを卑下し、判断の基準を外に求めるという古来のトラウマが反映されている。
日本人は「論より証拠」を重んずる民族だが、世界は圧倒的に「証拠より論」で動くと鈴木氏はいう。それは先だっての尖閣諸島の証拠ビデオの件からも明らかだ。日本が外交や戦略思考の面で世界と渡り合うために何が必要かを、歴史や精神文化から見事に解き明かした快著だ。(田中真知)
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