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品目の垣根を越えて通じる経営のヒントが満載
書籍名から、読者対象が限られる技術解説書を想像したが、さにあらず。本誌の「農業経営者ルポ」にも登場した小ノ上喜三氏が上梓した本書には、果物栽培40余年の経験から得られた農業経営の極意が濃縮されている。あらゆる品目に共通する、刺激的なヒントが詰まった良書に仕上がっている。
農業経営の原則は「増収」「ロスの削減」「再生産できる価格での販売」の3点だと著者は言う。そのためには一体何をすればいいのか、本書はカキを例に具体的かつシンプルに因数分解をして示してくれる。養分の供給と消費のバランスを考慮した剪定方法など、篤農家ならではの技術解説はもちろんだが、販売に対する考え方にも思わず頓悟させられる。
著者は30年も前から市場出荷に見切りをつけ、今や9haで収穫されるカキの全量を直販している。その経営判断の背景には、流通業者のためにではなく、食べる人のために農業を行うのだというメッセージが一貫して流れている。ただ生産するだけでなく、常にマーケットと対峙し続けてきた著者の言葉には、様々な発見があるはずだ。(土井学)
カキの多収栽培―安定3トンどりの技術と経営
posted with amazlet at 11.10.28
小ノ上 喜三
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