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土と関わり方が人類の未来を左右する
土づくりこそが農業の礎だと認識していても、それが人類普遍の原理であるとまで大げさに考える人は多くないだろう。ところが本書は、古代文明から現在に至るまで、人類の隆盛と衰退があまねく土との因縁に起因していることを突き付ける。
メソポタミア文明がどのようにして勃興し、衰退していったか、それに比べてエジプト農業はなぜ数千年にわたって高い生産力を維持できたかなど、世界中の史実を緻密に論究した内容には、農業者であればこそ圧倒されるはずだ。紹介される史実の年代や地域は様々だが、共通するメカニズムは極めてシンプルである。それは、土壌が作られるより早く消費され、なおかつ土地が支えられる以上に養うべき人口が増えたときに、文明は「生態学的自殺」に追い込まれるということである。
だからこそこれからの農業は、生態学に基づいた科学の見地から土壌を扱うことが肝要だと本書は指摘する。「農業を現実に適合させねばならないのであって、その逆ではない」という著者の言葉を、あなたならどう受け止めるだろうか。(土井学)
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