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社会は下位の「がまん」によって成り立っている
脳科学は相変わらずブームだ。しかし、多くの脳科学本は単独の情報処理装置として扱う傾向がある。こう刺激すると、脳は活性化する、というふうに。しかし、脳は単独で機能しているわけではなく、社会との関係に応じて働き方が変わる。
本書は、このような脳の働きを「社会脳」と呼ぶ。「人の幸せは個人の中にあまり見いだせない」と著者はいう。たしかに記憶力だけ鍛えたからといって、それだけで幸せにはなれない。社会との関係性があって初めて幸福感が生まれる。
それでは、社会性におけるもっとも基本的なルールとは何か。著者によると、それはよくいわれるような「協調」ではなく「がまん」である。さらにいえば、下位にある者の「がまん」が社会を成り立たせているという。身も蓋もない言い方に聞こえるが、この「がまん」のコントロールの仕方が「賢さ」である。著者は昨年『つながる脳』で毎日出版文化賞を受賞した気鋭の研究者。本作も、冷徹で甘さのない論理展開が気持ちのよい、最近の脳科学本のヒットである。(田中真知)
ソーシャルブレインズ入門――<社会脳>って何だろう
posted with amazlet at 11.10.31
藤井 直敬
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