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BOOK REVIEW

忘却の整理学

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著者:外山慈比古
定価:1,260円(税込)
 出版社:筑摩書房


忘れなければ覚えられない

現在は記憶力偏重の社会だ。個性や創造性を重視といいつつ、教育システムはいぜんとして記憶力で人間を序列化している。身のまわりにはパソコンやデジカメ、ICレコーダーなどの情報記憶媒体があふれている。個人が扱う情報の量は、10年前に比べても飛躍的に増えたことだろう。だが、人間の脳の仕組みは、何十万年前からほとんど」変わっていないのである。

かのロングセラー『思考の整理学』でも話題になった著者は思考にとっていちばん大事なことは「忘却」であると喝破する。現代人の頭の中は不要なものでいっぱいになっている。中年以降の人間にとって、新しいことを覚えるより、いらない経験や知識を捨てる方が、はるかに人生はうまくいくのかもしれない。

ところが、忘れることは記憶するよりも難しい。記憶は努力でなんとかなるが、忘却は努力してできるものではないからだ。的確に忘れることこそ、創造の源であることを感じさせる痛快なエッセイである。(田中真知)


忘却の整理学
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外山滋比古
筑摩書房
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