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国とは農業が支えるもの
著者は早稲田大学の探検部出身で、辺境を旅するうちに、中国国境に近いミャンマーのワ州という地域にたどり着く。ここでは普通に農産物を生産するようにアヘンが栽培されており、著者も7ヶ月間の滞在中に種まきから収穫まで体験することになった。実際にアヘン中毒まで体験するあたりは「そこまでするか」と感じるが、それだけ自らを投じたドキュメンタリーといえる。
ワ州でのアヘン生産は、日中戦争が終わって毛沢東による中華人民共和国が成立した際、雲南にいた国民党の残党がミャンマーに入り、ケシを栽培したのが始まりという。生産されたアヘンはワ州連合という軍隊によって管理され、唯一の収入源として軍隊を支えている。軍幹部のピンはねが横行するなど、村人たちは貧しい暮らしを強いられているが、互いに助け合いながら「農産物」としてのケシ栽培に精を出す。その様子はどこかほのぼのと穏やかに描写されており、国とは農業が支えるものだと改めて感心させられた。(土井信人)
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