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今年の市場相場を読む

衰退品目の背景は?その「生き残り」対策を考える 小ネギ、カリフラワー、トウモロコシ、インゲン

市場の相場の動向は、農家にとって需給の状況を知る大きな手掛かりである。ただし、単純に「入荷増・価格安」といった推移だけではないから、話は厄介だ。成長品目でも、上限はあるのかどうか、衰退品目に見えても、下限はあるはず、といった見方もしなくてはならない。今回は“衰退”しているように見える品目を選んで、その背景と対策を考えてみたい。そんな品目でも、必ず生き残り対策はあるし、それがスキマになっているケースもある。
小ネギ 成熟期を超えたら用途別分野へ 着眼は地場や「食味本位」



【概況】小ネギは、東京市場では過去5年で7%の減となった。単価は、平成に1000円の大台を大きく割って812円という安値もあったが、以降、数量減との関連もあってか持ち直し、10年には1200円まで上がった。産地としては主産地の福岡が10年には4割を若干下回ったが、次ぐ千葉、大分は15%、高知は10%のシェアだった。小ネギに関する近年の特徴はかつての主産地の福岡が漸減してきた分、他産地がそれをカバーしてきた、という構造になっていること。小ネギの需要は成熟期に入り、市場入荷を見るかぎりは衰退期への突入も示唆するものになっている。

【背景】昭和50年の始めまで、東京市場には小ネギは“影も形も”なかった。その独特の需要を開発したのは、ひとり「博多万能ねぎ」のお陰である。それがいまや、4500tを超え、従来からあったワケギの1200tの2倍にまで成長した。近年の漸減傾向は、上り詰めた需要が頂点を究め、下降線をたどっているようにも見える。上り詰めたら後は下降をたどるだけ、というのは道理ではあるが、この下降を放置しているのは、ひとり福岡産の姿勢による。福岡産(博多万能ねぎ)は、産地としても“成熟期”に上り詰め、これ以上の需要開発を行おうという意欲を放棄した。そのため、主産地としての“義務”をも放棄して、単価の高い時期に生産を集中させるが、安い時期には面積を減らすという対応になっている。需要動向がどうであれ、産地として「単価」さえ取ればいい、という二流産地に落ちぶれたのである。

【今年の対応】かつて博多万能ねぎが6割以上のシェアがあった時代には、このネギの市場での絶対的なブランド力に正面から歯向かおうという産地は皆無だった。が、逆にそのブランド力は多くのスキマを作ってきた。PB化などでスーパーへの対応をしなかった、安い単価を設定して加工需要に対応しなかった。東京市場への偏重から関西を含む地方のマーケットを無視した、等々。これによって、他産地の小ネギが参入できる余地を作った、ともいえるのだ。小ネギはいまや全国的な品目となった。それだけ、地場の需要もしっかりしてきたということだ。商品としては個性がないだけに、要は流通チャネルの勝負となる。また、香りや辛味も求められている。

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