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【農業経営者ルポ「この人この経営」】
お客様に伝えたいのは「農薬適正使用」への僕らの責任
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第5回 1999年11月01日
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「和郷園」は千葉県香取郡山田町に本拠地を置く農事組合法人である。和郷園の「和郷」とは「パラダイス」、人が集まって豊かに暮らせる里を意味する。代表理事の木内博一さんは32歳。組合員の平均年齢は30歳以下。和郷園は未来を見つめる20代、30代の農業経営者たちが結集する産直組織である。53名の正組合員の他、協力会員が21名。参加する組合員の農場は本拠地の山田町だけでなく、旭、銚子、成田など11市町村にまたがり、組合員の経営センスや技術レベルは極めて高い。職員数は正社員だけで14名。来春には地元農業高校から3人の新規採用者を内定している。売り上げ約9億円。40品目以上の野菜を生協、中卸、量販店などに供給している。
和郷園は平成8年、5人の仲間の呼びかけで農事組合法人として発足したが、それに先だって平成3年から木内さんを中心とした任意の産直組織として活動を始めていた。生産を担当する各組合員の経営も法人化し、数名から10名程度の正社員を雇用する農家が多い。木内さんの個人農場である(有)さかき農場の場合も、両親と弟それに農業会議所を通じて職を求めてきた二人と普通採用の大卒の青年二人を含め7名の役員と正社員、それにパートが8~10人という規模だ。露地13ヘクタール、施設1.2ヘクタールの圃場で生産し、売り上げは約1億3000万円。現場は弟さんに任せて、奥さんは経理を担当している。木内さん自身は和郷園の専従経営者として仕事をしていることが多い。
木内さんは、和郷園が顧客への責任を自覚する優れた農業経営者で組織する産業組合として機能することにより、市場社会の中で産業として成立する農業の実現、そして農家による農業経営と農村の新しい可能性を開くことを目指したいと話す。和郷園はそんな若い農業経営者たちが、野菜作りとその販売事業に賭けた挑戦なのである。リーダーの木内さんを初め、彼らが見つめる農業、農村の変化、その中で未来を指向する農業経営者の自負と役割、そして和郷園の果たそうとしている事業の未来について語る言葉は、間違いなくこれからの農業企業体の姿を提示していると思う。そのことについてはあらためて紹介するとして、ここでは、生産物に対する生産者としての責任を明確にしていくために、和郷園が取り組んでいるPL法の考え方に即した使用農薬表示と生産者の生産技術管理のシステムについて紹介したい。それが、市場社会に成立する農業を作り上げていこうと考える彼らの農業経営者としての自負とその経営者能力を示すことであるからだ。
和郷園は平成8年、5人の仲間の呼びかけで農事組合法人として発足したが、それに先だって平成3年から木内さんを中心とした任意の産直組織として活動を始めていた。生産を担当する各組合員の経営も法人化し、数名から10名程度の正社員を雇用する農家が多い。木内さんの個人農場である(有)さかき農場の場合も、両親と弟それに農業会議所を通じて職を求めてきた二人と普通採用の大卒の青年二人を含め7名の役員と正社員、それにパートが8~10人という規模だ。露地13ヘクタール、施設1.2ヘクタールの圃場で生産し、売り上げは約1億3000万円。現場は弟さんに任せて、奥さんは経理を担当している。木内さん自身は和郷園の専従経営者として仕事をしていることが多い。
木内さんは、和郷園が顧客への責任を自覚する優れた農業経営者で組織する産業組合として機能することにより、市場社会の中で産業として成立する農業の実現、そして農家による農業経営と農村の新しい可能性を開くことを目指したいと話す。和郷園はそんな若い農業経営者たちが、野菜作りとその販売事業に賭けた挑戦なのである。リーダーの木内さんを初め、彼らが見つめる農業、農村の変化、その中で未来を指向する農業経営者の自負と役割、そして和郷園の果たそうとしている事業の未来について語る言葉は、間違いなくこれからの農業企業体の姿を提示していると思う。そのことについてはあらためて紹介するとして、ここでは、生産物に対する生産者としての責任を明確にしていくために、和郷園が取り組んでいるPL法の考え方に即した使用農薬表示と生産者の生産技術管理のシステムについて紹介したい。それが、市場社会に成立する農業を作り上げていこうと考える彼らの農業経営者としての自負とその経営者能力を示すことであるからだ。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
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